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「ちょうどいい」は、うれしい
一年に一度か二度ほど、何かを買いたい欲にかられることがある。
服はジーンズやインナーは買うが、ほとんどの服は自作のものだし、今は間に合っているので、服は要らない。
今回、わたしが無性に欲しくなったのは、メガネと靴。
メガネは必需品なので、いくつも持っているものの、わたしは周期的に新しいメガネで気分転換したくなるようだ。
ちょうど去年の今頃も、メガネを新調したんだった。
最近は、メガネは気軽に買える値段のものも増えたのでありがたい。とはいえ、探すとなると、なかなか気に入るものは見つからない。
まあまあいいかなってのはいっぱいあるが、今持ってるものを超えるほどの「これだ!」には、そうそう出合えない。
靴も同様だ。
わたしは靴は履き潰す派で、シーズンごとに履く靴はだいたい決まっていて、服に合わせて毎日選ぶこともしないし、ほとんどの手持ちの服に合う靴を履き続けてしまう。
夏用、春秋用、冬用、雨の日用、4足あれば事足りる。
しかも、物持ちのいいわたしは、履き潰すにも何年もかかるから、靴は頻繁に買うことはない。
だが、この秋は、買いたくなった。
ここ何年もの間、春と秋は、歩きやすさ重視のスニーカーを履いていて、まだまだ履き潰すところまでいってないが、スニーカーじゃない歩きやすい靴が欲しくてたまらなくなったのだ。
そういうわけで、先々週あたりから、お天気のいい日に気が向くと、街やショッピングモールへ出掛け(自転車圏内なので、思い立ったらいつでも行ける)メガネ屋と靴屋をくまなくチェックする日々が続いた。
なかなかピンとくるものには出合えず、ほぼ市場調査と化しているなと思い始めたころ、良き出合いが訪れた。
靴は、シンプルながらちょっと変わったデザインのスリッポン。落ち着いた赤(赤茶)に白いステッチが効いている。
足を入れた瞬間、気分がフワっと上がった。
土踏まずに感じる極上のフカフカさ!
人工皮革の本体に柔らかく包み込まれて、足が喜んでいる!
歩いてみたら、足のかえりに寄り添うフィット感!
歩くのが楽しい&わたしのファッションスタイルにもバッチリ合う。
即決。
次はメガネのこと。
その日、その靴屋さんへ行く前に何軒か靴屋さんを覗いたのだが、自転車で移動中に、とあるメガネ屋さんの前を通りかかった。
ゆっくり見る時間はなかったので、ササッと店内を一通り見て、2つ3つのメガネを試着してみてすぐ出たのだが、ひとつ、アタマから離れないメガネがあったのと、お店の人の感じの良さが印象に残った。
翌日、わたしはまた自転車を走らせた。
メガネ屋のお兄さんも憶えててくれて、お話しながらいくつものメガネを試着させてもらったところ、やっぱりあのアタマから離れなかったメガネがイチバンしっくりきた。お兄さんと、「これですね」と頷き合った。
そして、即決。
昨日買った赤い靴を履き、買ったばかりの赤×ゴールドの丸メガネをかけ、秋晴れの中、自転車を漕ぐ。
気分爽快!
「ちょうどいい」って、ほんとうれしい!
そして、改めて思ったこと。
品物自体も大事だけど、買うお店の雰囲気も合う合わないがある。
それより何より大事な決め手となるのは「人」なんだな、と。
誰から買うか。
おそらく、たとえ商品が気に入っても、「この人からは買いたくない」と思ってしまったら、買わないだろう、わたしは。
わたしも、服を作るだけでなく、売る人だ。
この人から買いたいと思ってもらえる人との出会いを大切にしよう。
モノもヒトも、「ちょうどいい」とうれしい。
当たり前だからこそ大事、ってことを再認識したお買い物だった。
* * *
ちなみに、上の画像は、30年以上も前から愛用している折り畳み小机の天板。
古い商店街でヒトメぼれして、優しいおじいちゃんから買ったもの。
じぶんにとって「ちょうどいい」ものは、どれほどの年月が経っても飽きないし、大切にしようだなんて意識しなくても大切にしてしまうのだ。