恋に落ちる音
私だけを置き去りに
バスが器用に路地裏を抜ける
停留所の明かりが
迷える虫たちを誘い
次の時代へと吹く風が
私だけを此処に置き去りにする
今も忘れない あの瞬間
自分でも信じられないほど
心揺さぶられた
嵐の夜の小船のように
まっさかさまに
恋に落ちていく
遠くから聞こえる
足音だけで彼だとわかるわ
風に乗る軽いステップが
私をここでない場所へ誘い出す
明けない夜は無いと
分かったように人はいうけれど
私はまだ真夜中の停留所に
一人立っている
もしも願いをかなえてくれるのなら
けして消えない音をください
これが罰だというのなら
永遠に心に留めておけるように