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とことん余裕がない日の救い

余裕がなくなると怖い顔になる。生理2日目の日、スーパーでレジに並んでいた。私の一つ前にお会計してた人が、なんだかちょっと手こずって、早く終わるだろうと並んだのに、反対側のレジの方が早く終わってしまった。

非常に心の狭い話なのだが、この日は1ヶ月で1番心の狭い日で、こんなことでさえ顔が怖くなるのだ。もう反対側のレジに人は並んでいるし、そっちに移るなんてできないし、と、自分の中では諦めたつもりだった。

「使います?こっち。」

顔を上げると反対側のレジに並んでいたおじちゃんが、自分に声をかけていた。思わず、

「使います!」

と言っていた。いや、普通は「いいです!どうぞどうぞ!」っていうところやろ、と2秒後には思っていたが、遅かった。

レジが終わって、袋詰めする時、急に恥ずかしくなった。体がきつい、帰りたい気持ちダダ漏れで、顔は吊り上がり、カッカしていたんだろう。そして、そういう時ほど、人の親切に触れる。

そのおじちゃんは、色々分かっていたんだと思う。内側のドロドロした気持ちとか、誰かを傷つける意地悪な私とか。わたしは汚くて、意地悪だ、と思った。

自分の気持ちばかりを優先するのなら、汚くて意地悪で結構。でも普段って、そういうわけにはいかないから、隠したり直したりする。それで、どうにもできなかった日に、こうやって誰かが救ってくれているんだと思う。

そうやって世界はできていてほしい。
救ってくれてありがとうおじちゃん。

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楠木こち
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