身寄りのない患者さんへのサポート~信頼関係を築くまでの道のり〜
はじめに
岸辺くすのき透析クリニックでは、高齢の透析患者さんだけでなく、身寄りのない方や支援が必要な方にも、丁寧にサポートを行っています。
今回ご紹介するのは、60代の患者さんへの支援事例です。この患者さんは、お一人で生活されており、僕たちは夏の暑さや将来に対する不安を感じていました。今回は、その方との信頼関係を築きながら、適切な介護施設を探すまでの道のりについてお話しします。
自宅生活の不安と介護施設の提案
夏が近づくにつれて、僕たちはこの患者さんの生活環境が心配になりました。特に自宅にクーラーがなく、暑い日々をどう乗り切るかが課題でした。ケアマネージャーさんと連絡を取り合いながら、何度か訪問し、介護施設への入居を提案しました。
初めは、患者さんも「まだ早いのではないか」と乗り気ではありませんでした。しかし、何度かアプローチするうちに「見学だけなら」と了承していただき、僕とケアマネージャーさんで適切な施設を探すことになりました。
介護施設探しの難航とシニアマンションの提案
とはいえ、身寄りのない方を受け入れてくれる介護施設は限られており、なかなか見つかりませんでした。また、患者さん自身のこだわりもあり、簡単に決まることはありませんでした。
そんな中で、僕が良く知るケアマネさんと連絡を取りながら調べた結果、少し遠方ではあるものの、シニアマンションという形態で受け入れてくれそうな施設が見つかりました。
このシニアマンションは、自由度が高く、プライバシーを保ちたい方には理想的な環境でした。また、この施設は当クリニックの本院である大正くすのきクリニックにも近く、治療の継続も可能なことから、僕たちが引き続きサポートできる環境であることも魅力でした。
見学と患者さんの反応
実際に患者さんと一緒に施設を見学に行きました。僕もシニアマンションを見学するのは初めてでしたが、施設の自由な雰囲気や設備に安心感を覚えました。しかし、患者さんにとっては地元を離れることが大きな不安要素であり、すぐには決断ができないとのことでした。それでも、いくつかの介護施設を見ていくうちに、最初の頃よりも抵抗感が薄れていき、細かい質問をしてくださるようになりました。
今後への展望と信頼関係の構築
僕は以前、特別養護老人ホームで働いていた経験もあり、身寄りのない方に対する支援には慣れていました。成年後見制度の利用など、身元保証の確保も含め、可能な限り患者さんが安心して生活できる環境を整えたいと考えています。
しかし、実際に介護施設を探す中で、こうした状況にある方が受け入れられる施設が限られていることも実感しました。今回のケースでは、入居に至るまでには課題が残りましたが、この過程を通じて患者さんとの信頼関係を築くことができたと感じています。
今後も引き続き、この患者さんにとって最善の環境を探し、サポートを続けていきます。
その後のサポートの内容については、また次の機会にお知らせできればと思います。