数学オリジナル問題01:数列の漸化式_三角関数の利用
数列の漸化式のオリジナル問題を掲載。
問題
次の漸化式の一般項を求めよ
$$
a_1=\frac{1}{2},\quad a_{n+1}=\sqrt{1-a_n^2}
$$
ただし、可能ならばnによる場合分けの無い形で解け。
解説
ぱっと見は解けない漸化式である。
しかし、n=1,2,3,…を代入してみれば
$$
a_n = \left\{\begin{array}{ll} \frac{1}{2} & (\text{nが奇数のとき})\\\frac{\sqrt{3}}{2} & (\text{nが偶数のとき})\end{array}\right.
$$
で問題は終わりである。
しかし、漸化式を見て三角関数の公式
$$
\sin{\theta}=\sqrt{1-\cos^2{\theta}}
$$
を思い出せれば、次のようにも解ける。
まず、$${a_n=\sin{\theta_n}}$$と置けることを示す。
$${1-a_n^2 \leq 1 }$$より
$$
a_n=\sin{\theta_n},\quad \theta_1=\frac{\pi}{6},\quad (0\leq\theta_n\leq\frac{\pi}{2})
$$
と置ける。このとき、元の漸化式の左辺は常に正で、右辺はθの範囲を踏まえると
$$
\sqrt{1-a_n^2}=\sqrt{1-\sin^2{\theta_n}}=\cos{\theta_n}
$$
これを$${a_{n+1}=\sin{\theta_{n+1}}}$$と比較して
$$
\sin{\theta_{n+1}}=\cos{\theta_n}=\sin{(\frac{\pi}{2}-\theta_n)}
$$
より
$$
\theta_{n+1}=\frac{\pi}{2}-\theta_n
$$
この漸化式を解くと
$$
\theta_n=\frac{\pi}{4}+(-1)^n\cdot\frac{\pi}{12}=\frac{\pi}{12}(3+(-1)^n)
$$
従って、求める一般項は
$$
a_n=\sin{ \frac{}{}\frac{\pi}{12} (3+(-1)^n) }
$$
このとき、nによる場合分けなどが無く解ける。
考察
記憶が曖昧だが、昔の東大入試問題に次のような問題があった気がする。
次の漸化式の一般項を求めよ。
$$
a_1=\frac{1}{2},\quad a_n>0,\quad a_{n+1}^2=\frac{1+a_{n}}{2}
$$
こちらは、第一問のようにnをいくつか代入して調べても、解答を得ることは出来ない。
三角関数で、$${a_n=\cos{\theta_n}}$$とおくと
$$
a_n=\cos{\frac{\pi}{3\cdot2^{n-1}}}
$$
と得られる。
このように、有名な関係式に当てはめることで解ける漸化式があることから、漸化式作成のバリエーションが増えるような気がする。例えば双曲線関数や大学数学の範囲での関係式である。