在庫管理がクソな薬剤師
腹圧性尿失禁や、気管支拡張剤として使う某薬剤が手に入らない。他の咳止めが効かない場合の選択肢な一つとして、うちのドクターが年に2度くらいは処方する。そう、「スピ◯ペント」。
卸からは全く入らないので、他の店舗に小分けしてもらう必要があるのだが、多くの店舗があるなか、在庫量に余裕がありそうで、なるべく近くの店舗へ依頼をかける。
その近隣店舗は現在、毎月150錠程度の出庫がある。そして現在庫量は約2500錠。この在庫状況なら、50錠程度なら余裕でわけでもらえるだろうと考え、スタッフのメールで依頼させた。
しかし数日後、下記のようなメールが。
なんと言うことでしょう。
その場で、責任者に電話をして抗議をしようとおもったが、アホらしいのでやめて、300km以上離れた他府県の店舗に相談。
50錠、なんとか在庫融通してもらえることに。
しかし、遠距離なので届くのに2週間くらいかかる。
そして昨日、とうとう処方削除をお願いすることになった。
依頼を拒否した店舗の薬局長は数年の経験のある中堅に差し掛かる薬局長(女性)だ。在庫管理の意味がまだわかっていないのかもしれない。
月に150程度の出庫で2500錠の現在庫量。約2年は保つ計算。
2年分の在庫を確保できて安心しているのだと思われる。
しかし、約2年間、徐々に減っていくとはいえ、現在の2000錠の在庫を死蔵するのである。仮に入庫がゼロになっても、1年以上余裕で保つのである。
何が問題かと言うと、在庫を抱えている間に、その薬を必要としている人に薬が届かない、薬が近くの店舗にあっても、患者さんには使えないのである、
咳で苦しんでいる人の選択肢として使えないのである。薬はあるのに。
また、自分らで一生懸命に確保した薬局の在庫なので、他店舗には譲れない、という考え方。これは自分の店舗の在庫が「会社の共有の財産」であることを知らないからに他ならない。
自分の店舗の在庫として抱え込み、2年近く寝かせることになる。
寝かせるだけなら良いが、ものは「薬」である。
患者さんに適用されて初めて「薬」が役にたつのである。
抱えるだけ、抱えて、近くにいる他の患者さんが苦しむと言うことが想像できない、かわいそうな薬剤師であり、薬局長である。
なにより、一番気の毒なのは、患者さんであるが、
そのような指導、教育を受けて育つスタッフも同様に気の毒である。
患者さんの服薬、患者さんが安心するための薬が、薬剤師が安心するための薬になってしまっては本末転倒だよな。