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映画ヒプノシスマイクを観た中年男性/映画感想
※映画のネタバレを含みます※
はじめまして。格ゲー中毒者の無名雑魚、星川実業と申します。
「ヒプステにハマった中年格ゲーマーが感想記事を書いており、ヒプマイヒプステの格ゲーを作れと嘆いている」と噂を聞き、なんだ気が合いそうだなと記事を読み、半分読み進んで「著者俺やんけ」と気付きました。このオチを三回くらいやっています。記憶を失っている。
過去記事はこちら
俺たちのD4を中心にヒプステを視聴し、早く格ゲー作れと言い続けている者です。
観てきました。映画ヒプノシスマイク。プレゼンをした結果「面白そうじゃん」と妻も乗り気になっていた為、2人で観てきました。妻はヒプマイ初見だった為、簡単な世界観と各ディビジョンの大まかな特徴だけ伝えました。
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テーマ① 映画ではなくアトラクションかも
映画どうだった?と聞かれたらまずこれを最初に挙げます。構成が特殊すぎて一本の映画を観に行くという感覚ではなく、豪華な特典映像・アトラクションって感じでした。ラップバトルを観てスマホで勝者投票し、結果が反映されます。
(妻が「ガラケーの人どうするんだろうね?」と心配していましたが、バトルで他の客のスマホ奪うんじゃないすかね?と説明して納得していました。)
大まかな流れは 世界観紹介→各チーム紹介パート→トーナメント開始→勝者に投票×5→優勝チーム決定→エンディング という形。
過去にXのスペースで独り言吐きながら予想していたのがおおよそ当たりました。(ルートとエンディングの数、映像の作りやすさを考えるとベースはトーナメント方式で勝者投票じゃないか?と予想)
構造上、とにかくフェアです。各チーム、各キャラの喋る尺が一定。負けたら「俺たちも頑張ったけど相手が見事だったな」と爽やかに立ち去り、勝ったら「勝てたけど相手も強かった。次も頑張ろうな」と相手を称えつつチームを励まし次へ進む。大体そんな感じ。
一般的な映像作品だったら各陣営の力量差があったり目立つチームがあったり、下剋上があったり乱戦があったり勝敗に応じて世界に変化があったりと起承転結が起きるでしょうが、ヒプマイ映画は良くも悪くも一定の枠内で対戦が進行する。キャラごとの掛け合いはあるが、その後の描写や展開はほぼ無い。その辺が本当に格ゲーっぽい。
初見で映画作品を観に行く感覚で行くと「なんか話単調じゃない…?」となるかも。ラップバトルのトーナメントを見に行くぞ〜くらいの感覚が丁度良いかも。
テーマ②見た目の話/ギルティギアストライブですやん
キャラは2D風3D?で滑らかに動きます。造形が安定しつつ、過剰にキビキビと動きすぎない程度のCGで違和感なく観れました。
そしてラップ中にカッコよく文字が出る。デカい文字が出る。おかげで中年にも読みやすい。ありがとう。
ん?滑らかな2D風3Dで文字がデカい……?
勝敗後のやり取りが爽やかで嫌味がない……?
ギルティギアストライブやないですか
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大技がカウンターヒットすると、デカデカとカウンター!と出てくれる超親切仕様。見ている側も「なんかヤベェパンチが入ったんだな」と分かりやすい。
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経験者がヒプマイ映画を観たら、ラップバトルするソルとカイを空想できるはず。特に試合開幕の演出や試合後の会話は格ゲー感が濃かった。なんならオープニングも流用できそう。早く格ゲー作ってくれ。
スピーカー同士が激突する場面はデジモンとかアトラス系モンスターみたいなシュールさを感じましたが、アニメじゃないとできないカメラワークや演出だと思えばまぁ目くじらを立てなくて良いかなという感想。あんなジョジョのスタンドみたいな感じで動かせたんだ……その辺はアニメ未視聴で無知だった私が悪い。
チームリーダーだけでなくちゃんとメンバー全員に尺を与えられて動いていたので、アンフェア感も少なかったと思います。仕様上全ディビジョンの曲を聴いたわけではないですが、シマウマが出てきたりデカいガイコツが出てきたりゲーセンが出てきたりとアニメ映画特有の画力もあった。
テーマ③選挙制度の限界。投票システムについて
映画の肝でもある投票システムについて。初見のエンタメとしては面白いが、今後問題になりそうという感触でした。
映画が始まる前からみんな心配していたであろうポイント。「全エンディングを見ようと思うと何回映画館に行けば良いんだ?」という問題。
良く言えば、繰り返し映画館に行く楽しみがある。悪く言うと、同じ映像を見るリスクが付きまとう。しかも繰り返し視聴する程ダブり率が上がる。全く同じ映像でもかまわん!というファンなら問題ないでしょうけど「前と違う展開が見たかったな…」と思う客が多数派になるでしょう。
この映画の場合
①勝たないと次のラップが見れない
②勝敗でセリフが変わるので、細かいやり取りまでコンプリートしたい勢はさらに視聴回数を増やす必要がある
③ラップの勝敗とエンディング以外で展開の変化が無いので、大きな変化は優勝チームが変わった時(そのエリアで不人気なディビジョンがあった場合観れる可能性が著しく下がる)
この辺の要素とどう向き合うかが問われる印象でした。私の場合は推しているD4がいないので、割とどこが勝っても楽しめる姿勢でいましたが、執着が強い人には苦痛が伴うかもしれません。その分、勝った時の喜びも大きいでしょうけども…。
もう上映の待ち時間で観客同士でラップバトルをしかけ合って「勝ったら俺の投票に従いなっ」とリアルヒプノシスマイクをするのが一番楽しいのかもしれません。本編がより楽しくなる。
ちなみにスマホを開ける仕様もあってか、応援上映になっていました。その時は声あげている人はいませんでしたが、サイリウムを振っているガチ勢は多数居ました。
私が行った時は黄色いサイリウムを持った集団が中央に固まっており、ポッセが優勝。妻は「組織票じゃん」「これが中央区ってか?」と若干ピキってました。どうやらカッコ良さでヨコハマ推しになったようです。
選挙制度の限界を見たね、と宥めました。
その他 気になった点
細かい話、感想等。
・相変わらず短時間で「こいつらはこんなチーム、こんなキャラです」と情報を詰め込むのが上手いので、初見の人にも比較的親切だと思った。大体キミそんな感じのやつね?と妻も把握できていた。
・アプリ準備のQRコード提示時間が結構長くて無音だったので、あの時に背景で映像流すとかBGM流すとかなんかした方が良いのでは?と
・エンディングでディビジョンの垣根を超えたキャラ同士の交流、止め絵?みたいなワンシーンがあり歴代ファンへのサービス精神も見られた。バトル以外のチーム外交流がほぼ無かったし、こういう路線の映画を期待していた層もいるのかもしれない。
・投票アプリは投票できない間は画面が暗くなるなど、映画館で使用される前提の配慮が見られた。流行るか否かの予想は難しいが、頑張っているなという印象。構造上「作ったのに上映されない映像が発生する」デメリットと「繰り返し視聴し総動員数が増える可能性がある」メリットのどっちが大きか、という話になるだろうか。でもまぁ、後出しで追加映像発表したり映画特典追加で視聴を促すよりはフェアなのかもしれない。
・入場者特典でCDが貰えてガッツリとラップが入っていた。お得感があった。買ったCDの映像特典が映画、と考えるとだいぶ得した気がしてくる(映画チケット2500円)
・寂雷は私の母親になってくれるかもしれなかった人だ。顔をむにむにしてほしい。相手がほぼ同世代の中年男性でも「困りましたね…」とか言って疲れた笑顔浮かべながらむにっとしてくれるんだ。先生はそこが平等なんだ。相手が女性だから喜んだり、男だから異常者扱いしたり、そんな区別をしないんだ。俺を産んでくれ。
・オープニングの感じとか、もうそのまま格ゲーに流用できるだろ!って感じのまとまりの良さだった。実は格ゲー作ってない?ねぇ
・二回戦のポッセの映像で舞台がゲームセンター。よくあるゲームのオマージュで台が並んでいて、その中に格ゲーもあった。8方向レバー5ボタンなのでABCD特殊ボタン方式だと思われる。上に体力バー下にパワーゲージがりスタンダードな2Dの1on1格ゲー?でゲームスピードは遅め。飴村が本人っぽいキャラ使っており、カプエス2恭介(ジャスティス学園から参戦したキャラ)のクロスカッターみたいな飛び道具を出していた。弾としての性能は悪そうで、且つかなり危険な距離から撃っているように見えた。
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飴村は格ゲー初心者ですという描写なのかもしれない。恐らく超必で丸スピーカーからビームを出していた。頭部と足元それぞれからビームが出ているので攻撃範囲は広く、1ゲージを払うに値する妥当な性能に見える。実は格ゲー作りたいのか?早く作ってくれ。
・↑ 何がヤバいって、投票で二回戦に進まないとポッセ格ゲー映像流れないし、流れたとしても格ゲーに疎い人はスルーしてしまうだろう。さらに私が常に「モルカーも格ゲーを作れ」等と嘆いているせいで、また格ゲー幻覚を見たんだろうと信じてもらえない点がヤバい。オオカミ少年ならぬ、格ゲー中年だ。なんだそれ。いつも通りじゃねぇか
・投票アプリでは、映画終了後に自分の投票のリザルト(結果)が出てくる。冒頭で述べたように私が投票したチームは全敗だったので、シンクロ率は驚異の0パーセント。0ってあんた。私がエヴァンゲリオンだったら一歩も歩けないし、トイレにも行けず失禁していた所だ。良かったな俺がエバーじゃなくて。俺は人間だ。人間で充分だ。
完