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問題の構造的解決

撰石積記 voL.30 ~またレンタカーのバッテリーがあがりました~

またやってしまった…


 仕事に出発しようと、レンタカーの鍵を開ける。

 あれっ、なんだか、鍵が開きにくいな…。


 そう思った瞬間に、以前の出来事がフラッシュバックした。

 (やばい…)


 エンジンをかける…。

 が、悪い予感が的中。


 何回、鍵をまわしても、

 エンジンはかからなかった…。


 恐るおそる、思い当たる節を、確認する。


 エンジンがかからないクルマの

 そのライトを操作するハンドルレバーは

 ヘッドライトの点灯を示していた。


*****

 これで2回目だ。

 あー、なんて面倒なんだ…。


 きのうはすごく天気が良かった。

 こんなに天気がいいのに、わたしの気分は一線の日の光も差し込まないほどに、暗雲に満たされていった。


原因を探る


 ひとえに自分の不注意であることは、否定の余地がない。

 それは認めざるを得ない。


 ただ…、こうなったのには、理由がある。


 ① 毎日、トンネルを通ること (ライトの消し忘れが生じやすい)

 ② レンタカーのライトが手動で操作する仕様であること

 ③ レンタカーのエンジンを切ったときに、ライトがオンでも音が鳴らない仕様であること

 ④ 自家用車の仕様は、ライトの点灯消灯が自動であること


 これらの状況がそろっているなかで、どうするか、という話なのだ。

 初めてこのレンタカーに乗ったときに、「やばいかもな…」と思った。確かに安いが、あまりにスペックが低い…。


 そして、その果てが、この状況だ。

 自分の不手際を棚に上げて、語るならば…

 「そりゃ、そうなるよね。」


 開き直る気分も、少しは湧き上がりそうなものだ。



ためらいの後の決断

 この問題を解決するには、いくつかある。

 ① クルマを替える

 ② ライトの点灯消灯を確認する

 ③ そもそも、ライトはつけない


 もっとも簡単なのは、②だ。

 それはわかっていたし、前回の失敗を受けて、それはしてきたつもりだった。だが、無理だったのだ。

 そして、一つの結論に、たどり着いた。


 ① にしよう。

 クルマを替えることにした。


根本的問題の解決

 個人の努力で、解決できる問題はある。が、今回の問題を、個人の努力で解決するのは無理だという、結論に達したのだ。


 問題には、いろんな問題がある。

 が、個人の”こころがけ” で解決できる問題なんて、ほとんどない。


 必ず、そうならない。

 必ず、そうしなくてはならない。


 そんな状況を作ってしまうことが、一番の問題解決だ。

 仕事や。習慣化でも同じだ。



 だから、クルマを替えることにした。

 いま借りているクルマのレンタカー屋には、3/26 以降のクルマの利用のキャンセルを伝えよう。


自分にはできないこと


 先回りして、考えたり。

 忘れずに、何かをしたり。

 その都度に合理的な判断をしたり。


 そういうの、苦手なんですよね。


 克服しようとするより、もう、それ以外の得手を武器にする生き方を、したいと思う。(そんなことが書いてある本や、言っている人に会うと、安心する。)

 できないことは、できないでいい。

 それで他人に余計な迷惑が掛からないようになっていれば、それでいいということにしよう。



 そんなことを考えながら、待っていると。

 大きなオフロード車が、こっちに向かってくるのに気が付いた。


 あのクルマには、見覚えがある。

 前回に、ダム湖の近くの農道で、バッテリーが上がったときに、助けに来てくれたロードサービスのクルマだ。


 「やぁ。また会いましたね。」

 運転してきた、気のよさそうな青年が、わたしにそう言う。


 (あぁ、やっぱり、このレンタカーとはさよならだな。)

 晴天に照らされる、東シナ海の青色が美しかった。


 まるで、決断を、応援してくれているかのように。


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