第二話「恋愛と結婚と絆」
アキは都会に勤めるアラサー。
この日は仕事が休みで1人、観光地に出掛けていた。
リフレッシュのつもりだったが、想像よりも多くの人で賑わっていた。
カフェのテラスからボーッと人の流れを見ていると、
カップルや家族連れが多く見られた。
こちらは1人なので、ただただボーッと「ここにいるみんなは恋愛を楽しそうにしているなあ。」と考えていた。
近頃アキの周りは結婚ラッシュの流れに呑まれ、
恋愛相談が多かった。
なぜ、人はこんなにも恋愛に対して真剣なのか恋愛結婚を望んでいる人がなぜこんなにも多いのか…
アキは暇なので考えてみることにした。
恋愛とはまずなんなのだろうか、目に見えないそれをどう定義づけよう。
アキはまともに恋愛をしたことがなかった。
スマホを取り出し、意味を調べてみた。
AIによると、「特定の異性に対して特別の愛情を感じてこ恋慕うこと」
らしい。
このご時勢に一部反しそうな文章だ。
つまり、「他者に対して特別の愛情を抱くこと」なのだろう。
この特別な感情ってなんなのだろう。
よく、浮気したとか、他の異性と他者と話していたとかで嫉妬することは、特別な感情の一つなのだろう。
この人と手を繋ぎたいとか、一緒に帰りたいとか、ずっと一緒にいたいとか、そういうことなのだろう。
あと、よく恋愛には順序があるという話を聞く。
どちらからか告白して、手を繋いで、キスをして…という流れがあるらしい。
自分は手を繋ぎたいとも、告白したいとも思ったことがないのでまあできていないのだが…脱線してしまった。
話を戻そう。
みんなが憧れる恋愛結婚は、御伽話から来るのだろうか。シンデレラや白雪姫は、最初は冷遇されていたが最終的にはみんなが憧れる王子様と結ばれている。
そういったところから少女漫画や、ドラマに発展しこうなりたいと思う人が増えるのだろうか。
ドラマチックなプロポーズ、ロマンチックな結婚式どれも素敵なものだ。
新郎も新婦ももちろん結婚していないカップルも他人といるために相当な努力をしていて尊敬する。
ただ、それが辛いというのならそこから逃げてほしいとも思う。…これは友人に対しての感情だ。
辛い思いをしてまでも成し遂げることではないと思う。
子供の頃からの夢でこの人と成し遂げたいと考えている人は、少し俯瞰してみた方がいい。相手は自分とは異なる生活、経験をしてきた赤の他人だ。結婚をよしとしない人、結婚したくない人の可能性もある。
そのため、ことが終わるまで覚悟を決めていたほうがいいし、その目標を相手に押し付けすぎないほうがいい。
大人は逃げ出すことが簡単だ。それゆえ、絆も意外と脆いものだ。
そうやって、相手に期待しすぎないことが自分流の心の守り方だ。
でも他人にその考えを押し付けることはできない。
ボーッとまた行き交う人を眺める。
人それぞれの人生があって、沢山辛いこともあっただろうにここで見える範囲の人たちはみんな笑顔だ。
それってなんか尊いな。尊い空間だな。
恋愛とか結婚とかそんなことを考えていたら疲れてしまった。
アキは頼んでいたガトーショコラを一口食べた。
甘いがほろ苦い。
絆ってこういう味がしそうだ。