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言霊


遠い昔
私が高校生だったころか、
『クロユリの歌』という歌が流行った。
大津美子という歌手だったと思う。

今だったら、アイヌ差別ということで
この作詞、作られることはないだろう。

当時はそんなことなど考えもしなかった
迫力ある歌声に魅せられた。

同じころ流行った
『イオマンテの夜』

これも今なら
問題になる歌詞と
言えなくもないが

わたしはただ、
三浦光一の直立不動の美声に
うっとりした。
彼はクラシック出身の本格歌手で
その気品ある歌声に
魅せられた。

テレビの前に正座して聞いた。
そんな時代の正統派演歌。
私の青春は
そんな時代。

今にして思う。

確かに言葉には魂がある。
だが、自分とは違う立場の人が聞いたら
心を傷つけられる
用語もある。

名作『ノートルダムのせむし男』は
今はたしか
『ノートルダムの鐘』と改名され

『風と共に去りぬ』は
あちこちが差別的だと
問題になっている。

『アンクル・トム の小屋』
『オールド・ブラック・ジョー』は
消えてしまった。

言葉には魂がある。

だから
美しい反面
怖い面もある。

言霊は
時代の変化とともに
変わってゆくものだし
変らねばならないと
思う。
                         おわり

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