コロナにひるみたくはない!
「一年で読む更級日記」
コロナ禍のなか、ついにカルチャースクール再開の運びとなった。もうこの授業は幻となるかと思っていたが。
授業のとき、喋るのは私だけだ。私がウィルスをまき散らしてはいけない。もちろんマスクはしている。だが、もっと完璧にしたい。
フェイスガードは私が着けるとなんか似合わないような気がする。大きな透明の仕切でもあればいいけど、スタッフに作るよう頼むのもは気が引ける。
思いついたのが大きな扇。母が存命のころデパートの中国物産展に一緒に行って買ったもらった。
「授業に使えそう!貴族の使った扇の原型は中国渡来だから」「じゃ、買ってあげる。良い仕事をしなさい」と買ってもらった。もう15年ほど前になるか.
最近出番がなかった。この扇をパーティション代わりに使えないだろうか。
乗せる台座はいろいろ試した結果、写真立てに行き着いた。これはいい!
コロナ禍で扇の出番かんなづき(神無月)
ペットボトルのお茶で喉を潤すときも、平安時代みたいに扇の陰で。授業の雰囲気も壊さないし、母に見守られているみたい……。
生徒は5人。このご時世でよくぞ5人もの方が受講料を払って来てくださった。
「何か勉強したくてたまらなかったのです。2講座申し込んだら娘に止められました。リスクを減らすためにせめて一つにしなさいって」
そう言ってくれた新受講生。
「センセイ、お元気そうでよかった。安心しました」と前講座から復帰してくださった方。一月に思いがけなく入院。二月に手術。
突然授業休止となり、あんなに迷惑をかけたのに。
静けさや広き教室秋さやか
サークルは六月に再開。だれ一人コロナに罹らず今日まで続いている。カルチャースクールではこの日が最初の授業。サークルとは違う緊張に心が震える。
願わくば、今年いっぱい、せめて今年いっぱいでも、全員が何事もなく授業を続けられますように。