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能登演劇堂も甚大な被害

能登半島地震で石川県七尾市の「能登演劇堂」も甚大被害…全国からファン集い、経済効果もあった

元日に起こった能登半島地震で、ここ10数年ほど毎年のように通っていた能登演劇堂も大きな被害を受けました。能登演劇堂は石川県七尾市にある演劇専門劇場で、仲代達矢さん(91)が主宰する無名塾の公演を定期的に行っていました。能登演劇堂で初日の幕を開け、その後、全国ツアーを行うなど、密接な関係がありました。

七尾市も震度6強の激しい揺れに見舞われ、演劇堂も建物や舞台設備に大きな被害を受け、周辺の道路も地割れし、水道などのインフラにも被害があることから、当面の間休館することを発表しています。

仲代さんは1984年に家族旅行でリアス海岸の穏やかな海が広がる能登・中島町(現七尾市)を訪れ、その景色がすっかり気に入って、翌85年から中島町で無名塾の合宿稽古を行うようになりました。95年に演劇堂が開場した時には監修を依頼され、舞台奥の大扉が開くと、劇場裏手の野山が借景となる画期的な劇場として誕生しました。

演劇堂での無名塾公演には全国からファンが集まり、演劇の町として有名になりました。観劇した後は近くの和倉温泉のホテル、旅館に泊まる人も多く、経済効果もありました。今年は七尾市制20周年を記念して10・11月に仲代主演の無名塾公演「肝っ玉おっ母と子供たち」を上演することになり、能登半島地震の1週間前に演劇堂で記者会見を行ったばかりでした。昨年の無名塾公演では、仲代さんは出演せずに演出に専念したことから「多くの人に役者の第一線から身を引いたと思われた」と語り、「精神を切り替えてもう1度役者として頑張ろうと、復帰することにした」と意欲を見せていました。

演劇堂では仲代さんが主演した「マクベス」「炎の人」など数多くの舞台を見てきました。演劇堂の再開の時期については今後の復旧状況をみながらということですが、甚大な被害が広がる現状では早期の再開は難しいでしょう。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)


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