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地平を切り拓く仲間と出会うために毎日数本のコラムを打ち込むことにした

 大雨が連日に渡って降り続き、雨漏りでたいへんだったらしいね。しかしその修理を終えたとある。いったいどうやって修理したのだろうか。あの高い屋根に登る梯子があったのだろうか。瓦を一枚一枚はがして組み直したというからすごい。しかしそういう生活が君をきたえ、君の絵にかがやきと深みをもたらしていくに決まっている。そんな君に送る手紙はやはりワイエスだ。

Pennsylvania Landscape
I think of it as the whole Pennsylvania landscape in one picture - with that marvelous buttonwood tree in the middle. I was thinking about doing the landscape to put over a mantelpiece. I'm almost suspended, looking down. Of course, it's a composite view. I never stand in one spot when I paint a landscape. I float. I move. It's impossible for me to be photographic. I wanted to capture the movement of the scene. The majesty of that nearly five hundred year old tree. You know, it's an odd picture - almost prosaic - I wanted to get it all down, maybe out of my system. I wanted to be able to say, everything's possible - if you believe and can get excited.

ペンシルヴェニアの風景
これはアメリカスズカケの素晴らしい大木を真ん中にして、一枚の絵に描き込んだペンシルヴェニアの風景のすべてだ。最初、私はこれをマントルピースの上に飾るつもりでいた。この絵では、私は空中から見下ろしているようだ。もちろん、いろいろな角度から眺めて描いた絵だ。風景を描いているとき、私は一つの場所にとどまっていることはない。浮かび上がり、そして動き回る。私は写真を撮るように一点に立ち止まって描くことはできない。この絵で場面の持つ動きをとらえたかった。樹齢が五百年近くにもなるこの大木の堂々たる風格を描きたかった。確かに、この絵は少し風変わりである。ありきたりと言っていいかもしれない。これまでのやり方を変えて、この絵の中にすべてを描いてみたかった。もし人々が何かを信じ、自分を激しく高揚させることができれば、何事も不可能ではないことを伝えたかった。

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 中央に配した圧倒的なアメリカスズカケノキは、いまはすべて葉を落とし、裸の枝が四方八方に広がっている。その背後に農家と田園、そして空には雨雲が湧き立っている。この絵からこの荒野を切り開いた開拓者たちの人生というものがたちのぼってくるのだ。ワイエスの絵にはいつも歴史というものが濃密にたちこめている。それはここにも書かれているが、彼は決して写真を撮るように一点に立ち止まらない。浮かび上がり、動き回って描いていく。それはおそらくワイエスがその画面に歴史を刻み込むためなのだろう。とにかくこの絵は圧倒的だ。(この壮大な絵をここに貼り込みたかったが、この絵は許諾されていない。残念だ)

 ところで、noteという新大陸に上陸したが、《スキ》なる奇妙なものが飛び交うこの世界はどうもぼくの体質に合わない、撤退すべきかと思案していたら、noteを落書き帖、メモランダムがわりに気軽に使えばいいのだというコラムに出会って吹っ切れたよ。ぼくの上陸の仕方が間違っていた。もっと気楽に思案するものを書き込めばいいのだということだが、しかしぼくはやっぱり地平を切り拓く仲間に出会いたい。

 東京は大変だ。森のなかはコロナ禍など無縁なんだから、自由に森を散策する君がうらやましい。我らの友人,C.W.ニコルさんが亡くなったね。寂しい限りだ。




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