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第22回「本を売る」ことに魅せられて
2007年(平成19年) 10月1日、志夢ネット加盟のオーナーから昼すぎに電話がありました。
「草彅さんの指摘通りに棚のレイアウトを変えたら週刊誌の売上が2割、月刊誌の売上が1割伸びました」
連絡をくれたオーナーは興奮ぎみでした。こちらとしても、こんなに早く効果がでて嬉しい。この店を臨店したのは8月。雑誌売場が気になったので、オーナーと店長に改善点を挙げレイアウト変更を提案しました。レイアウトを変更したのは8月下旬でしたので、実際の効果が出たのはこの9月の売上からです。ただ正直言って、売上は絶対上がると思っていました。理由は簡単で、この店を設計した建築デザイナーに問題があったからです。この建築事務所は書店業界でも有名な会社。数々の実績があることは確かですが、商品構成やゾーニング、棚のレイアウトなどにも細かく口を挟みすぎるところがあるのです。提案するのは自由ですが決定権は店になければならない。本来は店の意見を入れてデザインの変更をするのが設計士の仕事なのに、自信過剰というのかクライアントの意向をいれずにデザイン重視の店舗設計をやりたがる困った業者なのです。そんな流れの中、デザイナーのプレゼンに負けてオーナーのほうが折れてしまうのです。けっこう立派なプレゼンなので、現場経験が乏しい書店経営者は騙されてしまいます。
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オープン後、雑誌の売上が悪いと聞き、店の図面を見たときに、すぐに問題点がわかりました。ほかにも問題点はありますが、まず雑誌の売上を改善することを提案しました。なぜなら週刊誌の売上を伸ばすということは、週に1回来店する客を増やすことであり、週1回、月に4回も足を運んでくれる上顧客が増えると当然のことながら、月刊誌の売上も書籍の売上もプラスになるのです。先月は20%増でしたが、まだまだ伸びることは間違いないでしょう。
昨今、有名な建築デザイナーや空間デザイナーによる店舗設計で差別化を考えている書店経営者が多いようですが、デザインだけでは本は売れないと僕は思います。
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10月8日、フェア・仕掛け販売・既刊で売った本など 毎月報告書を提出してもらっていますが、こんな事例が・・・
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水野宗徳『おっぱいバレー』(泰文堂2006年刊)が棚ざしで売れていたので、
POPをつけ平積みにしてみたら動かなくなりました。
女性スタッフに聞いたところタイトルと表紙が悪いという事なので、表紙の三分の二まで隠れる手書き帯を巻いたら動いた。
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