父と暮らす ⑦玄関とトイレと居間と
母が入院しているリハビリ病院から、家の写真を持ってきてほしいと連絡があった。退院後の生活環境を考えるにあたって、段差や手すりの有無など現状を把握しておきたいという。わーお。モノの多い家だから、ひと様にお見せできるように片づけるのは至難の業だ。
ごった返しているモノを片側に寄せて1枚写真を撮り、また反対側に寄せて1枚と、撮り進めるのにかなり時間がかかる。父にもその旨伝えてはいたが、我関せずでPCゲームをしているので、いろいろな角度で写り込んでしまった。そして病院面談の2日前、若い理学療法士から電話があった。
「明後日、家の写真を持ってきてほしいんですが」
「用意しました」
「どこどこ撮りましたか」
「玄関とトイレと居間と…」
「玄関とトイレと庭と」
「庭じゃなくて居間です。それと寝室と台所とお風呂場です」
「分かりました。あと、リビングの写真もお願いします」
「?」
居間が分からなかったらしい。それで庭って復唱したのか。居間って言わないのかな、今(ふざけてイマせん)。そういえばちょっと前洋服屋さんで、「そのからし色のカーディガンをください」と言ったら、「はい、マスタードカラーですね」と言われたっけ。こんな経験が、これからさらに増えていくんだろうなあ。
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