手抜き介護 152 風が吹けば桶屋が
駅前を出る循環バスは、定刻5分前にバス停に着いた。乗り込むと、運賃箱前でおばちゃんと運転手さんが何かもめている。「ここは終点じゃないから」「でも私は」ととぎれとぎれに聞こえてくる内容から、多分降りようとしたおばちゃんが、小銭を入れる運賃箱にお札を入れたと思われる。
運転手さんは運賃箱の一部を開けたり棒を使ったりしてそれを取ろうとしているが、うまくいかない。バスを降りて営業所に向かったかと思うと、セロテープをカッターごと持ってきて、棒の先に付けて箱の底を探る。発車時刻が過ぎ、