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手抜き介護 175 巻くか巻かないか

昆布巻き大好き母の、その後の話。

実家の暖房は灯油の反射式で、上にやかんやちょっとしたお鍋が置いておける。メーカーは「何も置かないでね」と鉄のネットで上部を覆っているのだけど、それは簡単に外せるので、「外して使うのは自己責任で」と言っているのだろう。多分北国ではどの家も、ストーブには何か載せっぱなしにしている。

ある朝、母が昆布を砕き始めた。スライスの干し椎茸と一緒にお鍋に入れて水を浸し、そのままストーブに載せる。お昼ごろに調味料を加えて、さらに5、6時間。ずっと煮続けているから、夕食時には軟らかくなった昆布と椎茸の名のない煮物が出来た。おいしいかと訊かれて、一応「うん」と答えたけど、お醤油味の良く分からないおかず。まあ、昆布は食べられて母的には良いのかな。

その後私は自宅に帰り、入れ違いに兄が実家に着いた。部屋に置いてきたお土産のお礼メールに、「昆布巻きもいただいてるよ」という1文がある。昆布巻き?!「それはmade by 婆」と送ったら、「昆布自分で巻けるの?」と返ってきた。私もそう思ったけど、巻いたんだね。息子には、砕けてない普通の昆布巻きを食べさせたかったか。

私がいると、女手があると思って作らないのかもしれない。作る人がほかにいなければやるんだなあ。機能が残っているなら、ぜひ維持してもらいたい。そんな意味でも、たまに現れる兄の存在は重要なのかもね。

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