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非定型骨折の話 ①歩き始めがじんわり痛い

87歳の母が、少し前から「足の付け根が痛む」と言いだした。歩き始めがじんわり痛くて、足を少しずつしか動かせないという。1週間ほど前に転倒したので、その痛みが今出てきたのか、それとも最近の寒暖差のせいか。

始終病むなら病院へと思うが、調子が良いこともあるらしい。持病のリウマチの症状にも似ているので、歩行器をレンタルして様子を見ることに。ところが、歩行器を借りた翌週から、急激に足元が脆くなってきた。力が入らず、足を上げられないという。

かかりつけの病院に電話すると、予約は出来ないから都合の良い日に来てくれとのこと。行ってみたら激混みで、レントゲンを撮るまでに1時間、診察室に入れたのはその2時間後だった。医師の指示で更にCTを撮ることになり、もう一度診察室に呼ばれるまでトータル7時間! 結局「骨が脆くなっているので、近い将来骨折の可能性がある。骨折しないように芯棒を入れる手術をしましょう」といわれた。

骨折を予防する手術なんて、聞いたことがない。高齢で、認知機能が少し怪しくなってきている母だ。コロナ体制で面会も出来ないし、一人で何週間も病院暮らしなんて無理無理。ドクターはまだ20代くらいに見える。手術がしたいだけなんじゃないの、と思った。まずは手術に向けての検査予約を入れてまた出直すことになったが、拒否する理由を考えていた。

7時間も拘束された母は、すっかり疲れてしまった。真っ暗な外を見て、車がどこを走っているか分からないという。10年以上通った道なのだけれど。

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