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現代語俳句集 4




「 虹待つ人 」

こころごと押しひらくまど風薫る

ばんざいの子のへそあらわ衣更え

かもめたち飛んでばかりよ夏怒涛

すずしげにあぐらをかいて丘の上

大ゆうやけかばんを置いて旅終る

うなずいて箸をとる人どじょう鍋

いっせいに穂がさわぎだす麦の笛

昼寝からめざめてみても一人の家

たましひの痩せゆく心地夏の風邪

お見合いの席に扇子のわすれもの

梅雨に入る着物の帯をかたくしめ

傘さしてたたずむ人もかきつばた

ちいさくて大きな茶室梅雨のなか

かみなりのあとの心のしずかさよ

あおぎみて虹待つ人か雨後の日矢

梅雨晴れてこころの底の水たまり

踏んでゆくわたしは巨人こけの花

よくひびく箸つかふおと梅雨の夜

日本をまるあらい梅雨まっただ中

解き放つたましいいくつほたる籠