見出し画像

四季折々の俳句 10



「 夏まつり 」


にはとりの一声に梅雨明けにけり

山ひとつ鳴きはじめたり蝉しぐれ

釣り堀に糸たれてよりへいわかな

涼風にくちづけるごと目つむりぬ

日々草こころのままに生きやうか

薄幸のおのれのためにメロン買ふ

一玉をおもくうけとるメロンかな

手におもきちちははからのお中元

泥鰌鍋なむなむなむと食ひにけり

たましひのちからで歩む大暑かな

ぽつかりと空いたつくえよ日射病

蜂打つてかすかな怒りおぼえけり

満たされぬこころにも咲け水中花

冷房のきりきり効いてゐたりけり

青りんごかじりながらの思案かな

腕くんでひとりあるきよ夏まつり

天道虫空へはなちて言ふことなし

目のまへにおのが影ある暑さかな

駅出でし人びとに夏きらきらきら

へなへなと立ちあがるなり雷の後

すずめより早起きをしてなつの朝

夏盛んしづかにこぶしにぎりけり

幸せのかたまりとしてメロンあり

幸せをかぞくでわかつメロンかな

灯の街をみおろしてゐる涼みかな

おほきくてちひさな悩みなつの星

ほのあまきいも焼酎をあいしけり

飲み足りたものからねむれ冷し酒

風鈴のきららかなおとこぼしけり

彦星のつよくかがやくこよひかな

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?