四季折々の俳句 10
「 夏まつり 」
にはとりの一声に梅雨明けにけり
山ひとつ鳴きはじめたり蝉しぐれ
釣り堀に糸たれてよりへいわかな
涼風にくちづけるごと目つむりぬ
日々草こころのままに生きやうか
薄幸のおのれのためにメロン買ふ
一玉をおもくうけとるメロンかな
手におもきちちははからのお中元
泥鰌鍋なむなむなむと食ひにけり
たましひのちからで歩む大暑かな
*
ぽつかりと空いたつくえよ日射病
蜂打つてかすかな怒りおぼえけり
満たされぬこころにも咲け水中花
冷房のきりきり効いてゐたりけり
青りんごかじりながらの思案かな
腕くんでひとりあるきよ夏まつり
天道虫空へはなちて言ふことなし
目のまへにおのが影ある暑さかな
駅出でし人びとに夏きらきらきら
へなへなと立ちあがるなり雷の後
*
すずめより早起きをしてなつの朝
夏盛んしづかにこぶしにぎりけり
幸せのかたまりとしてメロンあり
幸せをかぞくでわかつメロンかな
灯の街をみおろしてゐる涼みかな
おほきくてちひさな悩みなつの星
ほのあまきいも焼酎をあいしけり
飲み足りたものからねむれ冷し酒
風鈴のきららかなおとこぼしけり
彦星のつよくかがやくこよひかな
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