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現代語俳句集 3





『 好きできらいで 』

こいびとが料理するおと今朝の夏

そのなかに揺れるみらいよ香水瓶

日のひかりひとすくいしてかき氷

けんかしておおきくなれよ熱帯魚

いつからかわらい話にさくらんぼ

うみ越えて夏のかなたへかかる橋

ひらひらと波が手まねき飛込み台

はんズボンはいて地球をあるく旅

このあたりすでになつぞら熱気球

置いてゆくせみの脱けがら旅の駅

あまりにもおおきな地球尺取り虫

川おともむかしのままか避暑の宿

山道のおくへおくへとほととぎす

子がいればあの子ぐらいか大夏野

ここからはおとなのはなしかき氷

人々を好きできらいでサングラス

金魚玉ゆらりといのちひるがえり

だれしもがいちりんの薔薇街の雨

小ささにおどろくばかり帰省の家

豆飯をにぎっては子のてのひらへ

パセリまで平らげて母よろこばす

にぎやかにひとの帰りを待つ麦酒

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