現代語俳句集 3
『 好きできらいで 』
こいびとが料理するおと今朝の夏
そのなかに揺れるみらいよ香水瓶
日のひかりひとすくいしてかき氷
けんかしておおきくなれよ熱帯魚
いつからかわらい話にさくらんぼ
うみ越えて夏のかなたへかかる橋
ひらひらと波が手まねき飛込み台
はんズボンはいて地球をあるく旅
このあたりすでになつぞら熱気球
置いてゆくせみの脱けがら旅の駅
あまりにもおおきな地球尺取り虫
☆
川おともむかしのままか避暑の宿
山道のおくへおくへとほととぎす
子がいればあの子ぐらいか大夏野
ここからはおとなのはなしかき氷
人々を好きできらいでサングラス
金魚玉ゆらりといのちひるがえり
だれしもがいちりんの薔薇街の雨
小ささにおどろくばかり帰省の家
豆飯をにぎっては子のてのひらへ
パセリまで平らげて母よろこばす
にぎやかにひとの帰りを待つ麦酒
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