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四季折々の俳句 20
「 ゆめひとつ 」
吹き抜ける風のかをりよ松手入れ
きつつきに心つつかれゐたりけり
行く秋の雲いそがしくながれけり
あんまんの餡があつあつ今朝の冬
冬滝にこころひらきてしづかさよ
ふる里のすつかりさびれ果てて冬
立ち食ひの蕎麦すすらうか初時雨
橋に立つおんなひとりの冬げしき
凍蝶のはらりと終へしいのちかな
たましひをふるはせて鳴け冬の虫
☆
よく晴れて九州場所ははじまりぬ
寄せ鍋へ箸いつせいにのびにけり
足だけが喧嘩してゐるこたつかな
麦の芽はまぶしきまでに元気なり
綿虫へわれのこころもふはふはと
傘さしてこころずぶ濡れ冬の雨
明日へと生まれかはらん木の葉髪
セーターを編む鼻うたは聖歌かな
しあはせが口いつぱいに冬りんご
揺り椅子に沈んでねむる暖炉かな
☆
木枯しの行きどころなき都会かな
冬の朝おむすびふたつゆめひとつ
泣いてゐるこの子もよき子七五三
大根をつよくやさしく引きゐたり
箱河豚のぱたぱた泳ぐ生け簀かな
薪たしてふたりとなりし焚火かな
なかなかにへいわな世なり今川焼
あしあとがあしあとを追ふ雪の山
屋台出てぶるると寒くなりにけり
世に一人とりのこされて日向ぼこ