現代語俳句集 ５

「 空を吸いこむ 」

神木を見あげるひとにみどりさす

木のしたできく初蝉のはるかさよ

汗ひいてこころ鎮まる金刀比羅宮

目つむれば好きな人びと風鈴聴く

紫陽花のひとつずつ消え坂しずか

おもいだすうしろすがたは白日傘

去るひとよどろんと揚羽蝶になれ

一人来てプールを洗うしずけさよ

空港のかなたはせかいみなみかぜ

かぶりつくハンバーガーの味も夏

はたけからほろびゆく村草いきれ

聴診器しんとあてられはだかの夜

汗かいてはしゃぐテレビの中の人

金色のビール飲みほすゆたかさよ

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