四季折々の俳句 15
「 あかるく終る 」
真向かうて大風に立つ案山子かな
吸ひこまれさうに子規忌の空青し
町ぢゆうの音きこえけり秋すだれ
柚子といふ幸せが木にたわわなり
大ぞらのしたがふるさと赤とんぼ
摘んでわがじんせいおもふ草の花
行く道のまだまだ伸びて秋ならん
秋の滝はつとしづまりかへりけり
大ぞらのしづまりしとき銀杏散る
いちにちのあかるく終る月見かな
☆
笑ふたび霧の晴れゆくおもひかな
野のはらは露のひかりの浄土かな
水澄みて鯉のにしきの映えにけり
ともる灯のしたたりやまず秋の雨
われも一つ灯かりともして秋の雨
若がへるここちに握るレモンかな
つな引きのつなが張りつめ運動会
何となく野に来て秋のあかるさよ
淋しさをいちまい羽織る九月かな
平和なる世はしづかにて月見かな
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?