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四季折々の俳句 23~ 年末
「 こよみ果つ 」
焚火へとあつまつて来よ夜明け前
雲間より日矢いくすぢも枯野かな
縄跳びをする子も絶えて路地の風
竹馬のあやうきいつぽいつぽかな
はくせいとわかつてゐても羆かな
指先でひかりむすべばオリオン座
むささびのはたはたはたと滑空す
かなしみを飲んで忘るる寝酒かな
どんと銃撃てば舞ひちる真鴨かな
ひとり立つバス停は冬どまんなか
☆
大ぞらのひかりあつめて鶴飛べり
風邪引いてどこか安心してゐたり
降りつんでふるさとといふ雪の檻
灯をけして冬の銀河のただなかに
過ぎた日はすべてまぼろし葛湯かな
咳してもなにも起こらぬ地球かな
ひとり食ふいちまいにまい千枚漬
幸せにぽつんとつかる柚子湯かな
風邪癒えてはつとこの世の美しき
国ぢゆうに歓喜のうたがひびく暮
☆
切りわけし聖菓のかずの笑顔かな
待つ人の心にサンタクロースが来
につぽんが押しよせてきし年の市
さつそくに火をおこしけり新巻鮭
二番目に箸をつけたき河豚刺しぞ
牡蠣といふ大海原をすすりけり
門松を立ててこころのさだまりぬ
年の瀬はあわただしくて平和かな
角もちをまるく大きく焼きにけり
さいげつがふぶきて暦果てにけり