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四季折々の俳句 21
「 舞ふために 」
いちにちのはじめの息の白さかな
かき鳴らす鈴の音うつろ神の留守
どつしりとあぐらをかいて眠る山
突つ立ちて我いつぽんの枯すすき
納豆汁なつとくのいくうまさかな
目みひらくわれら旅人きりたんぽ
さいごまで告げぬのも恋息しろし
ぞんぶんに生きてきてこの冬夕焼
十一月過ぎゆくままに過ごしけり
☆
屏風絵をまへに時間がとまりけり
たい焼きの湯気までゆたか大家族
朝が来て終はるしあはせ羽根布団
ふるさとに出たといふ鮫恐れけり
乾杯は明日へのちからボーナス日
海山をまるごと食らふちやんこ鍋
お歳暮の品おくりあふえにしかな
降る雪がこころの底へきえゆけり
舞ふために生まれし巫女か神楽歌
☆
バス今日ものんびりはしる十二月
寒風を真つ正面に立ちにけり
夜といふ奈落の底にひとり咳く
末ながく生きるしあはせ玉子酒
とほり過ぐ人ばかりなり冬すみれ
みあげれば雨うつむけば冬菫
まだ誰のものでもなくて冬すみれ
降る雪の華がこころにのこりけり