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現代語俳句 メール句会 2021年2月 結果


現代語俳句メール句会と題して、
メールによる句会を開催しています。

今回は6名のみなさんに全28句をお寄せいただきました。

以下その結果発表です。




現代語俳句メール句会
2021年 2月


ご参加のみなさんの選と講評です

矢口れんとさん選 》

◎ 特選句 ◎

薄氷にピリオドを打つスキップよ
笹塚心琴

冬にピリオドを打って春へと向かう。季節・心情の移り変わりがよく表現されていると思います。カタカナ語が2つ用いられていますが、終止形と切れ字のおかげで心地よいリズムになっています。音がスキップのように感じられました。

◯ 入選句 ◯

万国旗おおぞらじゅうが春めくか
草笛

待ち人に応える梅の一輪よ
吉田翠

ひとりごと零してもまだ朧月
笹塚心琴

寄せ書きに春爛漫を記す子ら
吉田翠



KIGOさん選 》

◎ 特選句 ◎

閑かさよ蛤すべて開くまで
矢口れんと

特選の句は、22番にいたしました。理由としては、文字で書いていない部分の情景が思い浮かぶというのが一つと、日常で自分が経験しうる題材で詠まれており、句の置かれた世界観が想像しやすく、それでいて解釈としては広がりがあると感じたからです。

◯ 入選句 ◯

紅梅の一本が張る結界か
矢口れんと

ひとりごと零してもまだ朧月
笹塚心琴

薄目あけのそり起きるか春の土
吉田翠

炷きしめた梅香に衣色づいて
悠凜



吉田翠さん選 》

◎ 特選句 ◎

総本山に喝がひびいてのどかさよ
草笛

本物の春は、目を覚ましてこそ。
とても清々しい句だと思いました。

◯ 入選句 ◯

ひとりごと零してもまだ朧月
笹塚心琴

万国旗おおぞらじゅうが春めくか
草笛

五線譜よ春告げ鳥を導くか
笹塚心琴

紅梅の一本が張る結界か
矢口れんと



笹塚心琴さん選 》

◎ 特選句 ◎

春の闇いっそ夢見てしまおうか
悠凜

春独特のしっとりとした闇に夢を見るという艶やかな雰囲気と、潔さを感じる句です。奥行きと余情に満ちた作品だと思いました。

◯ 入選句 ◯

万国旗おおぞらじゅうが春めくか
草笛

待ち人に応える梅の一輪よ
吉田翠

二羽廻り並び昇って麗らかよ
矢口れんと

手を引けば老いた背中よ風車
吉田翠



悠凜さん選 》

◎ 特選句 ◎

万国旗おおぞらじゅうが春めくか
草笛

冬が明け、待ちかねていた春本来の印象と、今のこの状況に於いて誰もが心から願う春──物理的だけでなく──の印象と、その全てを表現しているように感じました。

◯ 入選句 ◯

五線譜よ春告げ鳥を導くか
笹塚心琴

春暁の連れてきた語を書き留めて
矢口れんと

紅梅の一本が張る結界か
矢口れんと

閑かさよ蛤すべて開くまで
矢口れんと



Kusabue選 》

◎ 特選句 ◎

待ち人に応える梅の一輪よ
吉田翠

梅の咲きはじめの一輪があざやかに詠まれていて印象的な一句でした。「応える」という梅の擬人化には賛否両論ありそうです。


◯ 入選句 ◯

薄氷にピリオドを打つスキップよ
笹塚心琴

閑かさよ蛤すべて開くまで
矢口れんと

行楽へ 誘う梅が香 マスク越し
KIGO

炷きしめた梅香に衣色づいて
悠凜





【得点票】

◯ 4点句 ◯

万国旗おおぞらじゅうが春めくか
草笛

◯ 3点句 ◯

待ち人に応える梅の一輪よ
吉田翠

ひとりごと零してもまだ朧月
笹塚心琴

閑かさよ蛤すべて開くまで
矢口れんと

紅梅の一本が張る結界か
矢口れんと

◯ 2点句 ◯

薄氷にピリオドを打つスキップよ
笹塚心琴

五線譜よ春告げ鳥を導くか
笹塚心琴

炷きしめた梅香に衣色づいて
悠凜

◯ 1点句 ◯

寄せ書きに春爛漫を記す子ら
吉田翠

薄目あけのそり起きるか春の土
吉田翠

行楽へ 誘う梅が香 マスク越し
KIGO

総本山に喝がひびいてのどかさよ
草笛

二羽廻り並び昇って麗らかよ
矢口れんと

手を引けば老いた背中よ風車
吉田翠

春暁の連れてきた語を書き留めて
矢口れんと

春の闇いっそ夢見てしまおうか
悠凜

敬称略
失礼いたします



【ご投句いただいたみなさんの全作品です】


◯ 吉田翠さんの作品 ○

待ち人に応える梅の一輪よ

一瞬の匂いすずの音沈丁花

寄せ書きに春爛漫を記す子ら

薄目あけのそり起きるか春の土

手を引けば老いた背中よ風車


○ KIGOさんの作品 ○

春浅し 積節深度 1センチ

経読鳥 詩は古 空耳アワー

行楽へ 誘う梅が香 マスク越し


○ 笹塚心琴さんの作品 ○

春浅い川のみなもの煌めきよ

薄氷にピリオドを打つスキップよ

五線譜よ春告げ鳥を導くか

春風に心弾ませ旅の手記

ひとりごと零してもまだ朧月


◯ 矢口れんとさんの作品 ◯

紅梅の一本が張る結界か

閑かさよ蛤すべて開くまで

ふた開けて放つ鶯餅の色

二羽廻り並び昇って麗らかよ

春暁の連れてきた語を書き留めて


◯ 悠凜さんの作品 ◯

炷きしめた梅香に衣色づいて

逢えぬ日々想い届けよバレンタイン

パステルにショーウインドーも淡い春

はだれ舞い名残りは尽きぬ別れ際

春の闇いっそ夢見てしまおうか


◯ Kusabueの作品 ◯

釣りびとも大きな浜ののどかさよ

うたってもうたわなくても卒業よ

春の野の夕暮れどきがあかるいぞ

万国旗おおぞらじゅうが春めくか

総本山に喝がひびいてのどかさよ


みなさま
ご投句・ご参加
ありがとうごさいます




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