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10.岐路 「あっ、それ。もらうぞ」 健二は、環がテーブルに出しっ放しにしていた瓶を目…
9.冷蔵庫 「えっ? 冷蔵庫の話? 何だ、それ?」 「焼き鳥屋さんでジェニーさんに話した…
8.睡余 「おはよう」 目覚ましに起こされて、二日酔いがのそりのそりと居間に入ってきた…
7.魔法の薬 ジェニーのピッチが上がって目が据わってきた。水割りは途中からストレートに…
6.女二人 ――先ほどの女の人はきっと来る。 環はそう確信した。だから環は家に帰るの…
5.焼け木杭 健二は約束の**ホテル内の喫茶店に約束の時間より五分早めに着いた。だがジ…
4.再会 二年ぶりにジェニーから電話が掛かってきたのは、先月のことだった。 携帯電話に知らない電話番号が表示された。少し逡巡して出ると、「久しぶりね」と柔らかい声が流れてきた。頭は忘れていたが、耳が覚えていた。 短い挨拶の後、 「会って相談したいことがあるの。急だけど今週の土曜日に時間作ってもらえない?」 と切り出されたのだった。 健二は約束の時間より十分早く指定されたホテルに着いた。ロビーに入ると、ジェニーが立ち上がって手を上げた。 「待った?」 「ううん。
3.祭りの後 日曜日の朝。 健二は寝不足を顔に貼り付けて居間でソファーに座っていた。…
2.関頭 結婚式当日。 案の定、環は寝坊した。 「何で、起こしてくれなかったのよ」 「…
1.闖入者 環が突然訪ねてきたのは、金曜日の夜八時頃だった。 健二は帰宅したばかりで…