手塚治虫氏の「海のトリトン」
私の生まれ育った福島市は、福島県の県庁所在地なので、文化施設は割と充実していました。児童図書館も結構ひろくて、漫画もたくさんありました。
幼少期、テレビアニメで「海のトリトン」は音楽も含めて、とても好きでした。今でも主題歌の冒頭の部分を聞いただけで、ワクワクします。小学5年生のある日、自動図書館で「海のトリトン」の原作本を見つけたときは、本当にうれしかったです!漫画はたぶん貸し出しはしてなくて図書館内で読むようになっていたのかもしれませんが、毎日図書館で、夢中でギリギリの時間まで読んでいました。
しかし、テレビの内容とは全然違くて、ものすごくショックを受けました。テレビでは、正義の味方ヒーローのような印象だったのですが…。
他の本もそうなのですが、手塚治虫氏の漫画は、リアルすぎるのです。子供向けというより、大人が読んでちょうどよい内容のものが多いと思います。相当いろんな場面でショックを受けました。トリトンの恋愛事情とかも、そうですね。マジで思春期の男の子。テレビのさわやかな印象とはちょっと違うのです。まだまだそんな経験のない小学生にとっては、思春期の男の子の内面は、なかなかショックです。
テレビでは悪役のポセイドンも、漫画では、立場の違いによる正義の違い…みたいな感じで、必ずしも悪くはないんです。むしろ人間の方がえげつない。人間に育てられたトリトンの苦しみは、読んでいても本当に辛かったです。
テレビでの最終回は、希望に満ちた旅立ち…という感じでしたが、漫画では…
漫画での最後は、トラウマになるレベルでした。いろんなドラマでの、ハッピーエンドっていうものが、とても薄っぺらく感じられるようになり、もっと深読みするようになる、きっかけにもなった漫画とも言えます。
未来というものが決して明るいだけのものではない…と、小学生ときに深く考えるようになったのは、海のトリトンを含めて、手塚治虫氏の漫画の影響もあったかもしれません。
今は、電子書籍で気軽に読めるようになっているようです。
ステイホーム中、動画もビデオもテレビもいいけど、昔の漫画もおすすめですよ。