持中天地圖(じちゅうてんちず)
持中とは重力範囲の意味です。梅園の生きた江戸時代には重力という言葉が無かったので、保持という言葉で重力を表しました。天地とは世界の構成ですね。現在の言葉で表現すると『地球の重力圏内の世界の図』となります。
中央にある小とは生物圏(Biosphere)です。小とは玄語における小冊という項目を指します。
小冊では宇宙のなかで小さな生物活動を行う生息地を含む、動植物について書かれています。人部では人間について、物部は動植物について書かれています。
それを構成する私達が生活している地球環境を太線の内側に示しています。
✧日とは太陽です。
夜と晝が対になっています。玄語は江戸中期に書かれた書物なので明治以降の日本語表記と異なる文字が多く晝とは昼の事です。
季節は夏と冬が対になっています。春と秋は省略されています。
✧地とは地圏(geosphere)です。
山と野が対になり、河と海が対になっています。其々の生息地に適応した動植物が生きています。
このように、天、地は縦軸に配置されて太陽と地上の関係性表現しています。続いて、横軸の関係性を見ていきます。水火というカテゴリーに分類された部分には、太陽熱エネルギーを受けた地上の水の循環を表現しています。
✧火とは太陽エネルギーを受けた大気の加熱による循環(atmosphere heating)を表しています。
大気圏(熱圏)を抜けた太陽光は地表に反射し宇宙空間へと戻ります。
温められた空気は上昇し雲を形成します。
✧水とは、大気中の水蒸気です。気温により水の形状が異なります。
持中天地圖では、地球環境が循環のグラデーションになっている事を説明しています。地球環境のバランスは太陽との関係がとても重要ですね。
今回、初めて三浦梅園先生の玄語について少しだけですが、解説してみました。とても美しいですね。
なお、この記事は北林達也先生の研究を参考に書かせて頂きました。
玄語や三浦梅園に興味がある方はぜひ、北林先生のホームページを御覧ください。