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1月11日12日に日本熱処理技術協会「マルテンサイトの強靭化」研究会 第五回研究会に参加しました

1月11日,12日に神奈川県にあるJFE スチール早雲荘にて,日本熱処理技術協会「マルテンサイトの強靭化」研究会 第五回研究会に参加いたしました.


11日は,東工大名誉教授の中村 吉男 先生から40 年前の鉄-炭素マルテンサイト焼戻し過程の構造研究についてご講演頂きました.

回折パターンを詳細に解析することで,当時は二次元のイメージ像なしに鉄原子の移動と析出物形成に関する研究は,40年前でありながら今なお色褪せることのない基礎研究のお話を頂きました.

析出物の生成分解の像は,40年前とは思えない,大変精細な画像でした.

また,同日大阪大学 超高圧電子顕微鏡センターの杉山 昌章 教授からは,40 年の時を過ぎ再び重要となる鉄―炭素マルテンサイトの焼戻し過程を含む構造研究についてお話を頂きました.

40年前サイクルで鉄研究や社会のニーズの変遷があることをお話し頂きました.鉄と炭素に関しては,まだまだその炭素原子の配置や役割を明らかにできること,強化機構としての寄与,今後のマルエージング鋼の活用,Cu添加鋼のビッカース硬さなど,古くて新しい研究を紹介いただきました.


12日は朝から,JFEスチールの松原和輝様から焼戻しマルテンサイト鋼の水素脆化に関するお話をいただきました.SCM435の水素脆化は10年前に佐々木も研究いたしましたが,社会の要請を受けて再度その利活用が望まれているということです.

また,佐々木からは「固溶炭素拡散の数値解析による分布の可視化ならびに応力場の変化」と題して話題提供をいたしました.日本精工の田村様から,固溶炭素が亀裂周りに集まってくれることで,鉄鋼製品は実は(設計で想定しているよりも多様な条件において)その信頼性が保障されているかもしれない,とコメントいただきました.

その後,東工大の永島涼太先生からは,Ni-Cr系モデル合金の析出物とクリープ挙動に関する話題提供をいただきました.特性の向上はもちろんですが,析出物の写真がすごくきれいなことが印象的でした.

大変有意義な研究会でした.

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