パンプスはすり減らしてもプライドはすり減らすな。
営業の仕事をしている。
よくSNSで見かける営業マンはいわゆる「バリキャリ」だけれども、今日はそれとは違う営業マンの話と思って聞いて欲しい。
入社して数ヶ月後、正式に営業として着任した。
当時の上司は「教育」という考えがまるでなく、とりあえずやってきて何か問題があったら言ってね、というスタイルだった。
私は、いわゆる新規開拓ではなく、ルートセールス。既存のお客様をまわるスタイルであった。
新規開拓の営業と比べるとこっちの方が楽そうよかったー、と思っていたが、実際はそんなこともなかった。
確かに、既に契約いただいているため、知らないからとアポイントを断られることはまず無かった。
しかし、お客様だから何を言ってもいいと思う方も少なからずいて、心無い言葉を投げられたり、叱られたり、無茶な要求をされることもあった。
でも、お客様からの契約を守るのが私たちの仕事。お客様である以上、「じゃあいいですさようなら」なんて言えずにひたすら耐えた。
売上を上げるにも、決められたお客様の中から売上をあげなければならない。
新規開拓と違い、「ここには売れないから違うとこ行こう」が出来ないのもなかなか大変だった。
────── 売れない。全く芽が出ない。
同期と比べても、行動量は上回っていた。
でも全く売れなかった。
上司や先輩にはねちねち叱られる毎日。
定時に帰る同期を横目に、1人で遅くまで残る毎日。
売れない私が悪いんだからと自分を責めた。
何やってんだろうな。
私のちっぽけなプライドはズタズタだった。
私立大でてお金かけてもらったし、
わがまま言って地元を出たのにこれかよ。
お給料もそんないいわけじゃないし。
あのまま地元に就職してたら、今頃もっと友達と飲みに行けたりしてるんだろうな。
あーみんな元気にしてるのかな。
私は全然元気じゃないよ。
毎晩悩んだ。苦しかった。
こんなにも出来ないことがあるのかと、悔しかった。
見知らぬ土地で相談できる友達もいない。
気づけば新幹線で、実家の駅にたどり着いていたこともある。
どうすればお客様の役に立てるか
どうすれば売れるようになるか
どうすればまた来てねと言って貰えるのか
頭が壊れるくらい考えた。
成果を出したいけどもやり方がわからない。
相談したくとも上司も先輩も話を聞いてくれない。
時間が経っても同期との差は開くばかりだった。
嗚呼、このまま逃げたらどれだけ楽だろうか。
何度もそう思った。
でも諦めるのはもっと嫌だった。
しょうがないからとにかく自分でやるしかなかった。
考えてもわからないからとにかく動いた。
無様でも走り続けるしかなかった。
止まると折れちゃうから。
少しでもチャンスがあるならすがりついた。
あの頃の私にはプライドなんてなく、
とにかく「これをやりきった」という自信が欲しかった。
震える足を押えて、毎日毎日ヒールを鳴らした。
それから半年で、履き潰したパンプスは2桁を超えた。
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あの頃の私へ。
あなたはとても頑張りました。でも1番にはなれません。
今も、敏腕営業マンかと言われたらそういうわけでもありません。
だからといって、走るのを辞めないでください。
その無様な姿を称えてくださる人がいます。
不器用な姿を愛してくれる人がいます。
あなたが必死に食らいついてくれたおかげで、私は今自信が持てています。
お客様からも、次いつ来てくれるのと言っていただけます。
いろんな人を紹介していただけたり、指名をもらえたりもします。
あんなに暴言吐かれたお客様が、今度こっち来た時は飯でも行こうかとかわいがってくれます。
最初のごはんはすごく量が多かったから、お腹空かせて行ってね。
誰かと比較されるのはこわいだろうけど、今となっては負けているとは思いません。
あんなに偉そうな先輩も、意外と大したこと無かったよ。
毎日プライドを傷つけられて、壊れる寸前だったよね。
もう1回耐えられるかと言われたら絶対無理。
だからほかの人に耐えろとは言わないけど
あの時わたしが
パンプスと一緒にすり減らしたプライドは
絶対無駄じゃなかったよ。
ご覧頂きありがとうございます! 本日もあなたの一日が楽しくありますように(^ω^)🌸