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俺とミュージックゴースター@みろくの里
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初乗車:2023年4月29日
好きなセクション:あの崖みたいなドロップ
俺の中で、”死ぬまでに乗っておきたい国内コースター”が10機種ほど存在する。地理的問題で乗りに行くことが難しかった、あの頃はその存在すら知ることが無かった…等の理由で中学生時代には未乗車で終わったコースターだ。しかし今では社会人となり、自由に使えるお金や移動手段も格段に増えた。親父と共に初代インサイトで遠出をせずとも、飛行機や新幹線に乗り(会社から怒られない範囲内で)自由な行動が出来る。今年のGWに、そんな未乗コースターを2機種制覇することが出来た。今回はそのうちの1つ、みろくの里ミュージックゴースターについて取り上げてみたいと思う。
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みろくの里は広島県福山市にある遊園地だ。最寄りは福山駅か近隣の松永駅になるのだが、福山駅からの路線バスは土日祝日のみしか巡回していないため、平日に訪れる場合は注意。また、松永駅からの本数も少なく、バス停は施設から少し離れた山の中にひっそりと存在するためレンタカーで訪れた方が吉。
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訪れたこの日は、GW直前の平日。わざわざ有休を取って、平日に来たわけだからガラガラだろうとタカをくくっていたのだが、なんと複数の学校が遠足で訪れていて大混雑! 学生に混じって、コンデジを持った大人が園内を散策する様子はまさに不審者だった(通報しないでください)。
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みろくの里がオープンした1989年、当初はヒマラヤコースターの名称で稼働していた。そもそも、前年1988年に開催された瀬戸大橋架橋記念博覧会(※1)の岡山パビリオンで設置された同名コースターを、そのままみろくの里へ移設。みろくの里自体、海と島の博覧会における遊園地エリアとして運営することを想定し開発が進められた、という経緯があるようなので、2つの博覧会で活躍したコースターということになる。全国的にも珍しいのではないだろうか。
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設計は明昌特殊産業。あの那須ハイが誇るリーサルウェポン、ビッグバーンコースターを作った会社だ。コース全長は約800mで高度は23mほど。最大傾斜角は60度とビッグバーンに比べてやや大人しい印象だが、それでも1988年当時は日本一の急降下という触れ込みで運行されていたらしい。
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車両は6両編成の24人乗り。安全装置は明昌特有の窮屈な肩ハーネスのみという簡素な作りをしている。また、ビッグバーンでも同様だったが足元のスペースが狭いため、胡坐をかいた状態で乗車しなければならないのが少しキツイ。
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このミュージックゴースター、特徴として後方2両が進行方向と逆向きに連結されており、バック走行で強烈な落下体感ができる。瀬戸大橋博時代から2006年頃までは全て進行方向向きに接続されていたらしいのだが、2007年頃テコ入れのために逆向き車両を導入したようだ。ただ、逆走と順送で待機列を分割したせいかあまり効率の良い人掃けではなかったように思えた。
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車両が発車すると、駅舎に設置された大量のスピーカーからズンドコズンドコとEDMが流れ出す。ただ、毎回同じ音楽が爆音で流れるのでスタッフはイヤーワーム現象に悩まされないか少し心配になった(※2)。
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巻き上げスピードは可もなく不可もなくという感じ。特殊な車両形態だからか、巻き上げ中は後方車両に乗るとみろくの里を一望でき、前方車両に乗れば彼方に福山市の街並みが見える。この日は空気が澄んでおり、かなり遠くの方まで一望できた。
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頂上に着くとレールが”窪み”のようになっており、若干助走が付く。これをファーストドロップと呼んで良いかはさておいて、勢いを付けた車両は180度ターンに入る。旋回しながらどんどんと加速をつけ、問題の崖まで突っ走るのだが、初回乗車時の緊張感は凄かった。小手調べにビッグバーンよろしく最後尾、つまり6両目の12番席に乗ったのだが、助走区間が思いのほか長いためいつドロップが始まるか分からない恐怖と、手加減しない加速っぷりに手から汗がじっとりと出てきた。間違いなくこの時の俺の顔は、”自宅が火事になった時の永沢君”だった。
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前方車両が降下を始めると、猛烈なスピードで最後尾が崖へと向かい始めた。加速を始めると同時にハーネスへ胸が押し付けられる。あっ…と思った瞬間に、座席丸ごとバク宙するかのように空中へ放り出される。ケツが浮き、背中の支えが無くなる。いつもコースターに乗る時はイェーーーイ!とか、うおおおおおおおおおお!!みたいな叫び声を上げることが多い、が、この時ばかりは口から空気が漏れるような嗚咽しか出せなかった。これもうジャーマンスープレックスだろ。
一方、先頭車両では最後尾程浮くことは無いが十分に浮遊感がある。一瞬だけフワっと浮く感覚はカワセミのファーストに近かった。
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崖から突き落とされると、一気に急上昇しキャメルバックへ突入する。ここでのG変化がキツく、体全体が座席に押し付けられる。
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キャメルバックの頂上では、先頭と最後尾で違った感覚を味わえる。先頭車両に乗れば、キャメル頂上で突き上げられるようなエアタイムが襲う。一瞬の浮きではあるが、マイナスGイってんじゃないか?と思わせるその浮きに大興奮間違いなし。ビッグバーンのキャメルでは高度があり過ぎて浮きを感じられなかったが、これは普通に浮かせに来る。凄い。これは凄い。片や最後尾では、先ほどの崖ドロップ並みに引きずり込まれるので、頭から吹っ飛ばされるかの如くファンキーな挙動で落下。落ち方が不穏過ぎる、最高。
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頭からすっぽ抜かれるような、空中へ吸い込まれるような過激なエアタイムを感じた後、水平ループへと向かうためグイッと急上昇。流石に高度があり過ぎるため浮かないだろと思っていたが、普通に浮いた。先頭車両限定だが、不意打ちだったので驚き。
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山を越えるとタイヤブレーキに突っ込み速度調整。キュルキュル音を園内に響かせながら少し減速しループ地帯に突入するのだが、なんだか変なカントで旋回するため右側に振り落とされそうになる。怖い。
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水平ループ走行中は真下の広場から水が噴射される。車両の走行に合わせ真横に水柱が上がるのは面白いと思った(※3)。乗車感覚としては、スピードがだんだんと上がってくる3週目の横Gがキツく、体全体の臓器が左に寄っていく感覚だ。きもちわり~
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最後は駅舎に飛び込むようにしてタイヤブレーキ(※4)。ある程度速度が乗った状態でブレーキ&変なレールの軌道修正が入るので大きく首が揺さぶられる。イタタタタ…
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関東からわざわざ広島の奥地まで乗りに行った甲斐があった。意味の分からない落とされ方をするドロップに、しっかり浮くキャメル。変則的な車両のくせに前方後方でしっかり楽しめるレイアウト。期待値が高過ぎて肩透かしを食らうかなと思っていたが、そんなことは無く、ナチュラルにあたおかなコースターだった(褒めてる)。このコースターの為だけに訪れるというのは難しいかもしれないが、マニアなら広島の山奥でジャーマンスープレックスを掛けられるのも悪くない体験かと思う。
注釈
※1 瀬戸大橋博では岡山側と四国側で2つの遊園地エリアが存在した。岡山側は明昌が遊具の設置を担当し、四国側は泉陽が担当したようだ。明昌が担当した遊具は殆どみろくの里に移設されたようだが、泉陽の遊具はどこへ行ったのだろう…
※2 頭の中で同じBGMが反復されてしまうアレ。別名「合宿免許WAO!」現象
※3 水平ループ真下でコースターを眺めてると思いのほか水をぶっかけられるので注意
※4 この日は気温が高く、タイヤブレーキに突っ込む度にゴムっぽい匂いが駅舎に充満していた。あのムーンサルトスクランブルも夏場はケミカルな匂いが駅舎に漂っていたらしいので、古い明昌コースターあるあるなんだろうか
引用
[1]©アミューズメント通信社 新聞「ゲームマシン」1988年5月15日332号9面
[2]©アミューズメント通信社 新聞「ゲームマシン」1989年5月15日356号6面
[3]国土地理院撮影の空中写真(2010年撮影 CCG20101-C22-13)