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俺とインバーテッドコースター ピレネー@志摩スペイン村パルケエスパーニャ

日本が誇るインバーテッドの最終兵器

初乗車:2009年8月
好きなセクション:中間ブレーキ後のドロップ

 2009年、中学1年生だった俺は夏休みの家族旅行先に伊勢志摩を猛プッシュした。思春期真っ盛りの中学生が行きたい観光地としてはとてつもなく地味な場所だったが、地元高知からのアクセスの良さ(大嘘)、ミキモト真珠島や伊勢神宮をはじめとした豊富な観光資源があり家族旅行としてはピッタリの場所である、ということを両親にプレゼン。候補地として挙がっていた山口や広島を抑え見事、伊勢志摩行きを獲得したのだった。もちろん、真珠や神社には端から興味が無く、ピレネーに乗車することだけを考えプレゼンしていたのは言うまでもない(※1)。

 年にUSJでハリドリに乗って以来、絶叫マシンに対し自信が付いた俺が次に狙う大型コースターがピレネーだった。吊り下げ式という未知の領域、そして最高速度100km/hという自身初の3桁速度。流石に乗車前日は興奮して寝れず、夜中、暇つぶしにホテルのペイ・パー・ビューを勝手に見て糞ほど怒られたことを覚えている(※2)。エッチだぜ。

 えた当日、一目散に乗り場に向かった俺はその巨大なコースレイアウトにお口あんぐりだった。事前にどんなスケールなのかある程度知っていたつもりだったのだが、目の前で見るとその情報量の多さに圧倒される。案の定、乗車してもその強烈な動きに圧倒されっぱなしだった。ハリドリとは性格の大きく異なる威圧感や勢いに感動し、夏休み明けの英作文コンテストでピレネーを題材にした文章を作った。それだけ大きなインパクトを残したコースターだったと言える。

 々と前置きをしてしまったが、この正月休み、久々にピレネーに乗ってきたので今回改めてレビューしてみたいと思う。

この日は生憎の天気だった
三が日を過ぎてしまったが、まだまだ園内は正月モード

 目当てのピレネーは園内の端の方に設置されている。入口はピレネー山脈にある山小屋を意識しており、中に入ると、こんなに誰も並ばないだろ!と思うほど長いキューラインが用意されている。姫センのディアブロもそうだが、オープン当時はこのキューに滅茶苦茶並んでいたんだろうなと思うと、ほんのり空しい。まあ人少ないと周回乗車できるからイイんすけどね。

ハイジが出てきそうな山小屋 教えておじいさん
ながいキューライン これが埋まる日は来るのか!?
倉庫かよ

 のピレネー、90年代の日本で一世を風靡したB&M社のインバーテッドコースター。少し前まで吊り下げ式としては世界最長1234mを誇った大型機種だ(※3)。車両はディアブロと同じく4人×8両編成の32人乗り。基本前詰乗車になるのでどの車両に乗れるかは運次第だが、この日は、最後尾乗りたいっす!と係員の姉ちゃんに伝えると乗せてくれた。ありがとうございます。

若干殺風景な乗り場

 全装置はディアブロと同じく肩ハーネス。2009年乗車時には無かった謎のクッションがハーネスに追加されていた。最終ブレーキでかなり荒っぽい停車をするため、その際にお腹周りを圧迫させないための対策だろうか。

インバーテッドなので、当たり前だが足ブラ

 車し巻き上げに入ると、45mの高さまで進んでいく。この時に右を見ると綺麗な的矢湾の絶景が一望できるので、余裕があれば景色を楽しんでみるのもイイかもしれない。余裕があれば。

的矢湾そしてパルケエスパーニャを一望できる

 上に到達すると、旋回しながらファーストドロップ。一気に地面スレスレまで急降下するため、どの車両に乗っても日本トップクラスの迫力は保証できる。小刻みに振動しながら地面へ真っ逆さまに落ちるので、苦手な人はホント無理だろうなと思う。俺は好きだけど。

インバーテッドあるある:捻りながらのファースト
地面に向かって叩きつけられる感覚は唯一無二

 面スレスレまで落ちるとシームレスに垂直ループへ。轟音と共に一気に視界が反転し、遠心力で座席にグッと体が押さえつけられる。座席に押さえつけられケツが痛い。ディアブロよりも直径が大きく100㎞/hで突っ込むため、体に掛かるGも強め。ちなみに、当時のライドフォト記載の文章によると世界最大の垂直ループだったとの事。しゅごい。

巨大な垂直ループ 大きさは33mだ

 直ループを超えるとゼロGロールに突っ込む。キャメルバックの頂上でレールが捻られ、上下逆さま状態でゼロG(無重力)を体感できるエレメントだ。ただ、ゼロGと銘打っているものの、まっっったくと言っていい程浮遊感は無い。空中でロールした後は、中間ブレーキポイントの真下を高速で通過し地面ギリギリまで急降下。トリッキーなレイアウトだ。

キャメルバックとインラインツイストが組み合わさった形状
浮かねンだわ
ゼロGロールから垂直ループへ

 ロGロールを超えると、またまた垂直ループ。ここでも、速度がある程度ノった状態でループへ突っ込むので、靴が吹っ飛ばされるのではないか?と不安感じるほどの遠心力を体感できる。堪らねえぜ。

第2ループも相変わらずデカい

 直ループを超えるとピレネーの代名詞、コブラロールが待ち受ける。正直、乗ってて何が起こっているか分からない。ただただブン回されるだけ。しっかりハーネスを握りしめてないとガンガン耳がぶつかるので、ピレネーで一番ハードなエレメントだ。乗ってる身にもなって欲しい。つらい。稼働初期はコブラロール中にライドフォトが設置されていたようだ。

コブラが首をもたげた感じ ピレネーの代表的エレメント

 ブラロールを抜けると、スパイラルインターロックループに突入する。滅茶苦茶カッコいい名前だが、ただ単に、水平ループをするだけの個所。第2垂直ループと交じり合うように設置されており、下から見ると知恵の輪のようになっているのが特徴。乗車中は、サイクロン掃除機に吸い込まれたゴミになった感覚だった。

遠心力でバターになってしまいそう(ちびくろサンボ)
そのまま遠心力で吹っ飛んでいきそうだ

 平ループを高速で駆け上った後は、箸休め的なブレーキゾーンを走行する。そこを通過するとカクっと折れながら落下するのだが、ここで先頭の座席(車両正面から見て右端)に乗車すると、強烈なエアタイムを味わうことが出来る。ほんとに強烈で、太ももがハーネスに食い込むほどの浮きっぷり。ガコッと座席が一瞬無くなったようなその感覚は、那須ハイ ビッグバーン系のマイナスGだ。逆に左の座席は全く浮かないので、エアタイムジャンキーには物足りないかも。

ブレーキゾーン疾走! そんなに減速しないっす
振り子のように揺さぶられながらドロップ!
座席が抜ける感覚、強烈なエアタイム

 浮きを一瞬感じつつ、間髪入れずにフラットスピン。前半にコブラロールや巨大垂直ループといったアグレッシブなエレメントを配置してあるからか、あまり印象に残らないこのスクリュー。かなしい。

何の変哲もないスクリュー まあ無いよりかは…

 クリューを終えると、大きく左に旋回しながら最後のキャメルバックに向かう。地上より少し下のピットに潜り込んでからキャメルを上るため、かなりの急上昇だ。そのまま山小屋キューラインの真上を滑空するように下っていく。キャメル頂上では爆浮きとまではいかないが、ふんわりとした無重力感。

ピットから急上昇!
ふんわりと浮いててええやんええやん!(ザコシ)
下から

 ャメルを超えた後は、右に急旋回し最終ブレーキ。もうちょい走れる余韻を残しつつブレーキが掛かるため、若干重力エネルギーを無駄にしている感はある。

最終カーブ 強烈な遠心力にノックダウン

 レネー初乗車から14年が経過し、その間様々なコースターに乗り、経験や知識も増えた上で今回改めて乗ったワケだが、あの頃と変わらず楽しむことが出来た。コブラロールに代表される遠心力全振りエレメントから、キャメルバックに爆浮き中間ドロップなど、ありとあらゆるエレメントをバランスよく配置し、かつ中だるみも無いレイアウトとなっているのは非常に優秀なコースターだと感じる。

 FUJIYAMAやスチドラといった超大型コースターに対抗できるほど面白いコースターであることは間違いないのだが、如何せん志摩スペイン村という関東からのアクセスがバカ悪いテーマパークである事だけがネックか。日帰りで乗りに行くには根気の必要なコースターだが、ここはひとつ、気合を入れて訪れてみて欲しい。俺は諦めて名古屋に泊まったけど。

ダルからの切実なお願いに涙

注釈
※1 なんでこいつは急に伊勢志摩に行きたがってんだ、と思ったに違いない

※2 1000円くらいでカードを買って、テレビ横にある謎の機械に挿入すると有料チャンネルが見れるあのタイプ。俺のお小遣いからひねり出し購入したのに…。また、この旅行中にあの伝説の番組、”BS熱中夜話 絶叫マシンナイト”の初回放送を偶然見ることが出来た。地元に帰ってきてから再放送分を録画し繰り返し見たことを覚えている。再々放送希望

※3 2014年、Kings Islandに出来たBansheeに抜かれるまで世界最長のインバーテッドコースターだった。現在でも世界2位の長さを誇っている。ギネスブックに載るほどだったので、かなりのアピールポイントになると思うのだけど、現在の公式ホームページに記載なし。もっと誇れよエスパーニャ

 

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