
前代未聞の通いアヤワスカ一日目
11月29日(金)
プカルパのヤリナコチャの船着き場の近くの宿からサンフランシスコ村までアヤワスカのセレモニーを受けに通う、「通いアヤワスカ」一日目終了。
セレモニーは夜9時から始まるので、8時頃に宿を出発。
お世話になっているモーター(トゥクトゥク)のドライバーシェリックが迎えに来てくれた。


宿から約40分間、夜道をドライブし9時前にマエストロの居るヴィレッジに到着。
マエストロはこれから準備をする感じだった。
何処かへ行き、シピポ族の刺繍が入った上下で、シャーマンモードに変身して戻ってこられた。
手には大きな布を何枚か持っていた。
マエストロに、あらかじめスペイン語でノートに書いた、アヤワスカに期待する項目を見せた。
シェリックが読み上げてくれた。
マエストロは、うなずくでも蔑ろにするでもない不思議な表情をして、返答や反応はなかった。
真っ暗な中、ヴィレッジの木々をすり抜け、セレモニーを行う小屋に案内してもらう。
木製の、電気もない簡素な小屋。
広さは10畳位。
マエストロと、あみちゃんと私と、シェリックが座って一杯な感じ。
皆で手元をライトで照らしながら、木の床に布をひいて座った。
シェリックも居る。
シェリックは、セレモニーが終わるまで同室で待機し、終了後そのまま宿まで送り届けてくれるのだそう。
(ゲロってるところを、シラフのシェリックに見られるのかと思うと少し恥ずかしかったけれど、安心感もパなかった。)
マエストロは何処かへ行き、すぐに小屋に戻ってきた。
手にはバケツ、トイレットペーパー、たばこ、マッチ、水、スミノフみたいな瓶に入った透明の液体、小さなペットボトルに入った黒紫色の液体、ショットグラス、木の器を持っていた。
(黒紫色の液体がアヤワスカか、とまじまじ見てしまった)
私達も、各々、今までのサイケデリックスの経験から予想して持参したアイテムを取り出し、設置。
・吐いた後に拭く様のトイレットペーパー
・トイレットペーパーを入れる用のゴミ袋
・3リットルのお水
・毛布
・シーツ
・上着
・虫よけスプレー
何となく、手の届く範囲に設置して場所を認識しておく。
準備を終えマエストロの方を向いて座っていると、マエストロはショットグラスと木の器を取り出した。
どっちが良い?と聞かれる。
木の器はショットグラスよりも一回り大きい。
私達は初めてなので、勿論、小さいショットグラスを選んだ。
マエストロは黒紫色の液体を注いで、差し出された。
最初は私か。
私は正座になり、ショットグラスを両手で有難くうけとり、一礼して一気に飲み干した。
別段まずくなかった。
2か月程前に受けたパンチャカルマで毎日飲んでいた薬の方がよっぽど不味かっのたで、むしろプルーンの様なフルーティーな後味で想像の10倍美味しいと感じた。
よかった、パンチャカルマやってて。と思った。
次はあみちゃん。
あみちゃんも、両手で受け取り、一礼して飲み干した。
あみちゃんも全然大丈夫そう。
マエストロは木の器に自分の分のアヤワスカを注いだ。
思いのほか注ぎ過ぎた様で、笑っていた。
器に注いだアヤワスカに何か語り掛けている。
祈りの様に見えた。
そして飲み干した。
(これは効くね~)みたいな反応をされた様に感じた。
シェリックにも、飲むか?と尋ねていたけれど、シェリックは我々の送迎があるし断っていた。
マエストロが手元の懐中ライトを消すと、真っ暗になった。
私は、何となくお腹の中に異物を感じつつ、背筋を伸ばし、あぐらで座った。
あとは待つ。
マエストロは何度もあくびをしている。げっぷもした。口笛のような吐息の様な音を出している。
夜だから眠たいのかな?
準備段階なのかな?
これからイカロスになっていくのかな?
なんて事を考えている内に、少しずつ気持ちが悪くなっていく。
お腹もモチャモチャする。
サイケデリックスが身体に入っていく段階特有の、舌に何かが上がってくる感じがする。
沈黙の中、マエストロがマッチを擦った。
暗闇に明かりが灯り、視線はマエストロに集中した。
そして煙草に火を付けた。
虫の声と森の音だけが響く小屋、何も見えない暗闇の中、マッチと煙草の火でマエストロの顔と手元が煌々と照らされている。
灯火の中に映るマエストロの顔。
皺と貫禄、深い叡智と品がカタチになった様な、筆舌に尽くしがたい超絶カッコいい瞬間に、くぎ付けになってしまった。
私は、前かがみだとお腹が圧迫されて気持ち悪いので、少しずつ上体をまっすぐに調整を始めた。
足を延ばして座り、両手を背中の方に伸ばし支えた。
イカロスが始まった。
意識がイカロスに導かれていくのを感じる。
イカロスが柱となり命綱となり、導いてくれ支えてくれるんだっていう安心感。
意識がイカロスを軸に集中に向かう波に乗り始めると、
身体の不調を解消したくなった。
お腹の圧迫が気になり気持ち悪さを感じていたので、身体を解放する為にゆっくりと仰向けになった。
身体が楽になると、より意識の変容が楽になる。
目を閉じていると、目の中でシピポの幾何学模様の様なヴィジョンが緩やかに展開していった。
立体的で細かな幾何学模様。
カラフルではなく、黒、ベージュ、赤、などシックな組み合わせ。
元カレが以前アヤワスカを体験した際にお土産で買って来てくれたシピポ族の布の模様に似ている。多分そう。
それからもゆっくりと何だか男っぽい幾何学模様が展開された。
その中で、少し怖い感じになってきた。
ベルセルクの神が降臨する時に似てる、って思った。
蛇の頭が目玉の様な、ムカデの頭が目玉の様な、気持ち悪い何かが遠くの模様の中から出現し始めた。
さらに、この現状に猛烈な拒絶反応が生まれ始めた。
この波にのると、私、もう嫌だ!と暴れ始めるな、と危険を察した。
でも、この反応も自然のものだから、流れに任せようか?とも思った。
けれど、それは嫌だった。
この怖い流れに乗らない方法を瞬時に思いついた。
私は意識の中で「ありがとう」を唱え始めた。
気分はある段階の最悪のピークで、自意識が持っていかれそうな方向を感じている。
でも、「ありがとうありがとうありがとうありがとうありがとう」。
兎に角、何も考えない。
考えが展開しても構わず「ありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとう。」
そうしている内に気が付いた。
この怖い感じ、もしかすると、私の身体が冷えているのでは?
温めると楽になるのでは?
気付いたので、
もう一枚布を首に巻き、床にあお向けでいるが故に床冷えを背中一杯受け止めていた体制を、横向きに変え、手のひらの熱をお腹に移して身体を温めた。
すると状況は好転し、怖い流れは消え去っていった。
横向きになっていると、ふっと自分の手が視界に入った。
力の抜けた手。
目の前で横たわっている。
とても可愛い。愛おしい。
自分の手をもう片方の手で包んで「ありがとう」と伝えた。
腕も気になってきた。
腕も肩も胸も、身体全部に感謝を伝えたくなった。
自分のパーツに「ありがとう」と伝えて抱きしめた。
嬉しくて、身体が温まった。
隣のあみちゃんは、ずっと泣いている。
苦しそうではない。
静かに、シクシクではなく、気持ち良さそうに泣いていた。
たまにイカロスに合わせて声を漏らしている。
多分うたっているんだろう、と思った。
あみちゃんの調子は良さそうだ。
私はお腹のモチャモチャが気になりつつ、リラックスを心掛けていた。
イカロスが止んだ。
「ぷしゅーーーーーーーーーーーっ」という音と共に、香水の様な水滴が頭にかかる。
マエストロが口に含んだ液体を吹きかけている。
それからマエストロは空間を吸ってゲップをしたり、あくびをしたり。
身体を使って空間の浄化をしているのだと認識した。
私はお腹も楽になってきたし、気持ち悪さも軽減されていたので、起き上がって、頭から布を被って胡坐に座り直した。
意識はかなり元に戻って来ていて、とにかく身体と頭が軽く気持ちが良かった。
またイカロスが始まった。
私は目をつぶってまたイカロスに身を任せた。
集中の中で、元カレに感謝を届けた。
アヤワスカは昔から自分の目標の一つではあったので、絶対的に真似ではないのだけれど、時系列的に彼の方か早く経験した分、土産話として土地名やルート、アヤワスカに関するワードは耳に入っている状態だった。
それはとても悔しい事なので忘れた振りをして一から調べ、自分のルート自分のやり方、オリジナルの環境を作り上げ、辿るような真似はせずに済んだのでとても満足しているのだけれど、知っているワードの安心感の威力は私のリラックスに大きく影響している事実は否めない。
リラックスは能力を発揮する上でとても重要な事なので、前知識が守ってくれた何か、導いてくれた何かは必ずある。
忘れた振りはしているけれど、その彼とリンクする事柄はここには沢山あり、自動的に思い出す。
思い出しているのに忘れた振りをする不自然をしたくはないし、
ここで思い出さずにいつ思いだず?というタイミング。
そしてアヤワスカの最中。
感謝せずに何をする?
という状態になり、彼に届けるつもりで「ありがとう」を伝えました。
マエストロは空間を思いっきり吸っていた。何度か吸って、何度かゲップをした。
また何か浄化してくれた。
ありがたかった。
また「ぷしゅーーーーーーーーーーーっ」と音がして、水滴を感じた。
マエストロが吹きかけくれていた。
私は横向きだったので直撃はしなかった。
あみちゃんは目の前だったので、直撃していた。
あ、直撃してる、と思いつつ
「ありがとうございます」と唱えた。
もう一回来そうだったので、被っていた布をバレない様に少しだけ深くかぶりなおした。
もう一回来た。
被り直しておいて良かった、と思いつつ「ありがとうございます」と唱えた。
あみちゃんとマエストロは笑い合って楽しそうにしていた。
それから記憶が曖昧だけれど、マエストロが「アグア」と言ったので、水を飲めって事だと気づき、水を飲んだ。
頭にも掛けろという指示があり、ペットボトルの水を手に注いて頭に二度掛けた。
マエストロは携帯を確認し、シェリックに何かを話してる。
セレモニーの終了なんだな、と察した。
目と耳と頭とお腹は大丈夫か?というジェスチャーに、大丈夫だと答えると、本日はお開き、とおっしゃり、終了した。
マエストロに本日分のお支払いをする際に、お札にお礼をしてから奉納した。あみちゃんもそうした。
マエストロは「ありがとう」と言ってくれた。
夜中0時頃。
皆で布を片付けて、私達はまたモーターに乗りシェリックの運転で帰宅した。
帰宅してから白湯と焼きバナナを食べながらセレモニーについてあみちゃんとシェアをし、湯たんぽを作って、温めて就寝した。
夜中3時頃、初めてのアヤワスカの一日目、終了。
通いなので、落ち着く宿でキレイな布団で休む事が出来る。
最高。
一回目はマエストロと私達小娘、お手合わせの下準備だった気がする。
今日は次回に向けて食材の買い出しなど整えた。
次が本番。12月1日、新月。
完璧すぎる。
いいなと思ったら応援しよう!
