世界は感情で動く : 行動経済学からみる脳のトラップ 要約/まとめ/感想 【3分で読めます】
人は感情から逃れられない
こんにちは。くろです。
今回は"世界は感情で動く : 行動経済学からみる脳のトラップ"の要約、まとめ、感想です。
本書は経済学者のマッテオ・モッテルリーニさんが書いた本です。
経済活動において不合理な選択をとる理由を説明する「行動経済学」を1歩進めた、「神経経済学」とも呼ぶべき内容でした。
不合理な選択をとってしまうのは、人の心理作用、つまり「感情」が原因だという主張です。
1.本書はこんな人におススメ
・ロジカルな思考法が得意な方、大事だと思っている方
・ギャンブルで熱くなってしまう方
・仕事柄人と多くかかわる方
・モテたい方
2.本書の内容
本書の結論
人間は物事を決定する際、どれだけ理性的に判断したと思ってもそこには必ず感情が入り込む。
本書の言いたいことはこれだけです。
上記の結論を裏付ける心理作用とその具体例が列挙されています。
今回の要約はその中から印象的だったものを8点ピックアップして記載します。
①ヒューリスティクス
人が物事を判断する際、論理的なアルゴリズムとは別に直感で素早く結論を出す思考方法のことです。
経済学者のトヴェルスキーと心理学者のカーネマンが提唱した「行動経済学」で、人はヒューリスティクスをとるせいで経済活動における非合理的な判断が起こると実証しました。
ただ、ヒューリスティクスは決して悪いものではないです。
人はすべての事象を論理的に判断すれば大変疲れます。疲れないために、自明な物については直感で判断するよう、脳が設計されているのです。
背が高いからセンターフォワードorセンターバックとか、足が速いからサイドハーフ法則ポジション選びが良い例でしょう。
②ピーク・エンドの法則
心理学者のカーネマンが発見した、「あらゆる経験の快苦は、ピーク時と終了時の快苦の度合いで決まる」という法則。
人がある経験を思い出すとき、最も感情が揺さぶられた時と終了時の感情で、その経験の良し悪しが決まるのです。
どこかへ行くときに、出発して早々渋滞に巻き込まれたけど後半はスイスイ運転できた経験と、出発した直後はスイスイ運転できたけど最後に渋滞に巻き込まれた経験では後者のほうが嫌な記憶として残ります。
③大数の法則と少数の法則
「大数の法則」とは、試行回数が増えると一定の結果が出る確率が決まってくるという法則です。
コインを何度も投げれば、表:50% 裏:50%に収束するというやつです。
これは脳のメカニズムではありません。
「少数の法則」とは、試行回数が少ないにも関わらず、「大数の法則」当てはまると思い込んでしまう脳のメカニズムです。
コインが連続して表だった場合、「次はさすがに裏でしょう」と思ってしまうことです。
たとえ1000回転以上当たっていないパチンコ台があっても、次の回転の確立が変わるわけではないのです。
④アンカリング効果
最後に残った数字や言葉が、後々の判断に影響してしまう心理作用のことです。
単に5,000円で売られている商品よりも、10,000円の半額として売られているほうがお得に感じるのはこの効果のせいです。
「30分遅刻します」と言って、15分で来たら多少印象が良くなりますが、45分待たせたら印象最悪になりますね。
⑤自己奉仕バイアス
成功しても失敗しても自分の都合のいいように解釈する心理作用のことです。
成功したのは自分の能力が高かったから、という風に自分の内側に原因を見出します。
逆に失敗したら、相手がズルをしたとか今日は調子が悪かったという風に、自分の外側に原因を求めます。
また、失敗が予期される場合にあらかじめ言い訳を作る心理作用を「セルフハンディキャッピング」と呼びます。
テスト前の部屋掃除や、「時間が無くて…」といった言い訳がこれに該当します。
⑥バーナム効果
誰もが当てはまる一般的な性格を、自分にだけ当てはまるように受け止めることです。
アメリカのサーカス団のバーナムさんという方が由来です。
血液型の性格診断や占いの類がこれです。
フォアラーというアメリカの学者が行った実験では、星占いから適当にコピペした人の性格をテストにしました。自分に当てはまると思ったら1~5の高い数字を答えるというものです。
このテストの平均値は4.2と高く、それだけ自分の性格を見誤っていることが判明しました。
また、「確証バイアス」という心理作用があります。
自分の考えに都合の良い部分はよく記憶し、都合が悪い部分は覚えないという作用です。
⑦ハロー効果
何かを評価する際、対象の顕著な特徴に引きずられて他の部分もポジティブもしくはネガティブに受け止めてしまう心理作用です。
東大卒だから仕事ができるだろうとか、高いワインだから美味しいだろうとか、フォロワーが多いからすごいんだろうという評価がこれです。
商品のブランディングにも使われています。
その会社の1番売れている商品に力を入れてブランディングすることで、他の商品も良いものと思ってもらうのです。
iPhoneが良いからMacBookやAirPodsBookも良いだろうという評価です。
⑧順序効果
提示される情報の順番が異なるだけで、形成される印象が変わってくる現象です。
初めに提示された情報に影響されることを「初頭効果」といい、逆に最後に提示された情報に影響されることを「親近効果」といいます。
「初頭効果」は記憶を長期化させる効果が強く、「親近効果」は短期的なインパクトを強めます。
合否がすぐに決まる場合は最後に、長期的な検討を行う場合は最初に発表できると効果的です。
3.感想
耳が痛い内容が多かったです。
(特に自己奉仕バイアス…)
この本は読んで行動が変わるというより、定期的に読んで自己反省に使ったり、マネジメント等の人間関係の見直しに使用すべきかと思いました。
この心理作用は知ってるのと知らないので大違いで、色んな商法に騙されなくなると思います。
いつかはこの心理作用を利用できるようになりたいです。
最後に
お読みいただきありがとうございました!
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