3行日記 #172(野花、蓬、屋上遊園地)
四月六日(土)、晴れ
午前、出町から高野まで川沿いを歩く。土手の桜は五分咲きくらいだったが、場所よってはほぼ満開の枝もあり、何組かのひとたちが敷物をひろげてお花見をしていた。最近主流になった、一滴ずつ落とすタイプの醤油が中洲に転がっていた。チェロを取り出すひとがいる。これから練習だろうか。ラテン系っぽい外国人の観光客の夫婦。男性は桜を、女性はもっと低い地面すれすれに咲いている野花にスマホのレンズを向けている。男性が女性に近づくとき、どん兵衛の蓋が堤防に落ちていたのを見つけ、ひろっていた。何度か見かけたことのある黒白茶のキャバリアとすれ違った。足取り軽い。いつか話しかけたい。
午後、一乗寺の恵文社へ。おばちゃんと日本語が少し話せそうな外国の女性が本棚の前で話し込んでいる。よもぎ、たくさん摘み取ってね、乾燥しておくの。それをお風呂にいれるの。お湯が黒くなってね、汚いんだけど、身体がぽっかぽかになるの。昔は、五右衛門風呂って言ってね、鉄の筒のかんかんに、お湯をためてお風呂に浸かったんだけど。おばちゃんがていねいに説明し、海外の女性は意味をひろい集めながら熱心に聞いていた。立ち読みしていて、だるまやの屋上遊園地、メリーゴーランド、アドバルーンを思い出した。
夕方、元田中あたりを歩いていたら、こんな看板を見つけた。木の板に手書きの黒マジックで書かれていた。上田先生について。上田先生は、夜学校を始めました。家の一階を教室にし、二階を住まいにしました。昼間学校に行きたくても行けない子どもたちや青年の男女を集めて教えました。上田先生は、生徒に、努力して自分自身向上すること、お互いを認めあい協力しあうことを教えられました。明治の新しい世の中になったが、差別のない世の中にはなっていないから、社会をもっとよりよくしていかなければならないと話されていました。
夜、昨日の残りのポトフ、もらった焼肉、苺、パイナップル。チャックの散歩、南へ、団地を抜けてぐるっと回って、ファミマを左へ、神社を抜けておやつ、帰宅。先月の家計簿をつけた。