3行日記 #122 (無事です、パピロン、スマホを取りあげられることと同じ)
一月十七日(火)、晴れ
小寒、雉始雊、きじはじめてなく
小寒、寒菊凌英、かんぎくはなをしのぐ
朝、住んでいる地区には、災害時に身の危険が迫っているかを意思表示する、無事ですカードというものがあり、きょうはその訓練があった。朝七時に無事ですカードを玄関のドアのわかりやすいところに掲示しておくだけなのだが、同じ階では我が家を含めて二世帯しか参加していなかった。そういえば告知のちらしには「無事でずカート」と書いてあった。濁点がおでかけしたのだろうか。
夜、朝のトマトスープの残りに、茹で鶏をいれる、蜜柑、バウムクーヘン。食堂でぐんぐん成長しているパピルスのあだ名が、パピロンに決まった。
チャックの散歩、いつもにおいを嗅ぐところがだいたい決まっている。きょうスマホに流れてきた記事で、こんなことが書いてあった。犬にとって散歩でにおいが嗅ぐことは、身のまわりの情報を集める大切な時間。嗅げないのは、人間でいうとスマホを取りあげられたのと同じ。ものすごいストレスだ、とのことだった。たしかに、それはストレスだな。
チャックは縦に葉脈が走った細長い葉っぱが好き。踏切の前で尻ごみして、渡り終えると駆け出してその場を離れようとする。区役所をかすめてうんち、南の公園へ。奥のベンチ、中央のベンチ、出口付近、三組もいちゃついてるカップルがいた。チャックは空気を読まずにずかずかと近づいていくことが多い。ブランコの横に、熊の顔が描いてあるピンク色のマフラーが落ちていた。子供用だろうか。短い。ひろって、入口の柵の目立つところにかけておいた。商店街を横切ってさらに南へ。家の近くにコインランドリーができていた。
チャックの散歩が日課になって一年がすぎた。毎晩、夜ごはんのあとに歯を磨き、慌ただしく夜のまちに出ていく。チャックのおかげで夜のまちを歩く習慣が身につき、いろんなものごとが目に飛び込んでくる。酔っぱらいどうしの会話、お年寄りの会話、京都の中心部とはちがう、はずれの空気、郊外のにおい。降ってくる声、流れてくるものを感じよう。掬いとろう。