3行日記 #219(右膝、ギャン!、萩)
九月三十日(月)、くもりのち晴れ
秋分、蟄虫坏戸、むしかくれてとをふさぐ、土の中に住む虫が越冬に入る。
秋分、鶴過暗夜、つるあんやにすぐ、鶴は夜のあいだに飛んでいった。
五日ほど前から、右膝が痛い。いつもなら多少痛くても数日放っておけばたいていは治っていたのだが、今回はどんどん悪くなる一方で、見た目にも、明らかに右膝のまわりがパンパンに腫れて、まるで別人の脚のようだ。週末は仕事で、今日ようやく時間ができたので、近くの整形外科に行くことにした。
午前、いつ前を通っても混んでるなあという印象の、自宅の近くの整形外科へ。診療時間のはじまりと同時に病院に着いたのだが、すでに二十人以上のひとが受付をすませて待機していた。窓口の受付の女性もすでに疲れ気味。すでに二時間待ちとのことで、逃げるように返ってきた。とはいえ、膝は痛い。はやく楽になりたい。
昼、妻の実家で皿うどん。読売新聞の数独をやる。妻とチャックと一緒に紐の引っぱりあいをして遊ぶ。べつの部屋にいるときに、ギャン! チャックの悲鳴が響いた。妻が放り投げた紐がソファの上に載ったらしいのだが、調子に乗ったチャックが、その紐をめがけてソファのうえにジャンプして飛び乗ろうとしたところ、失敗して脚首をひねったらしい。わたしと同じく、チャックも右脚をかばって跛をひいていた。同じだね。
午後、となり駅の近くの病院に行くことにしたので、近くの喫茶店で過ごすことにした。途中、萩が見頃となった寺の前を通ったので、なかに入った。境内には通路の左右からうっそうと萩の枝が枝垂れかかり、ほぼ前が見えないくらいだ。奥には、カエルの置物がたくさん集まっていて、お腹に「福」と書かれていた。妻の家のお墓があるお寺にも寄って手をあわせた。寄り道をしながら先を進み、行ったことのない喫茶店に向かったのだが、あいにくきょうは臨時休業だった。ごめんなさいね、また、お願いします、と女性の店主さんが外にでてきてくれた。べつの純喫茶で休憩した。
先ほどの混み具合に恐れをなし、午後の診療時間の三十分前に受付を訪ねた。待っているひとは二人だけで、時間になるとすぐに診察してくれた。人の良さが表情ににじみ出ている先生で、患者の話を目を見ながらしっかり聞いてくれ、とても安心できる先生だった。レントゲンを撮って骨の異常がないことを確かめ、膝の腫れているところに注射して、溜まっていた水を抜いてもらった。みるみるうちに楽になった。
夜、妻の実家で久しぶりの焼肉。肉屋の高価な肉は柔らかかったが、スーパーで安くなっていた肉は筋張って硬かった。たれは、普通の焼き肉のタレと、あっさりめのタレと二種類あった。チャックの散歩、ついさっきまで脚をかばいながら、よたよた歩いていたが、散歩に行く直前に良くなりはじめたようだ。商店街に向かう手前で、私だけ高架下に逃げて別れた。
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