4. 本で冒険する! 『談話分析の可能性 ―理論・方法・日本語の表現性』 くろしお出版 1997
文から談話への冒険
日本語には、文という単位を中心にした統語論の枠組みだけでは解決できない課題が多い。この印象は、実際に使われている日本語の姿を観察するとさらに強くなる。そしてこれは、筆者が「は」の談話機能をテーマにした博士論文を提出した1980年から持ち続けていた意識でもあった。確かに「は」の持つ意味は談話上の機能としてであり、その意味を孤立した文の中だけに発見することはできない。もっとも、1990年代に入ると、日本語研究は裾野を広げ、社会言語学、語用論、会話分析、文より