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【放送大学/まとめノート】総合人類学としてのヒト学(’18)第3回 からだの進化 / 梅﨑昌裕教授

キーワード

暑さ 寒さ 栄養適応 身体的特徴 人類の多様性

目標&ポイント

1.ホモ・サピエンスの拡散
2.環境条件への適応
3.生物的な多様性


1.なぜ人間のみかけは多様なのか

人類の生態学的特徴
1.顔・体つきのバリエーション
2.地球上のあらゆる場所に生息
3.雑食

2.ホモ・サピエンスの進化と出アフリカ

ホモ・サピエンス
 進化の過程で発生した数多の人類集団(他のホモなんとか・ネアンデルタール人とか)の中で現代まで生き残った唯一の種族

700万年前~ 猿人はなぜ二足歩行を??
 1.物を抱える・道具を使うため説
 2.長距離移動に便利説
 3.メスへの贈り物したかったため説
 
猿人 → ホモ・ハビリス(原人)へ進化
 肉食 咀嚼筋の縮小 頭蓋骨の巨大化 脳容量アップ

単一地域進化説 ← 主流の説
 アフリカ大陸で原人がホモ・サピエンスに進化後(20万年前)、拡散したする説。以前は有力とされていた他地域進化説は時代遅れに。10万年前に出アフリカがスタート。ネアンデルタール人などと一部混血するも、先住集団と置き換わりながら拡散した。
 アメリカ大陸・オセアニアは定住が遅かった。
 アメリカへ行くにはユーラシア北上&ベーリング海峡を越えねばならない。寒冷な気候への対処に時間を要した。オセアニアへは海洋航海技術が必須。そら時間がかかります。

3.寒さへの適応

恒温動物 
 脳・内臓の温度37度に保たれていなければならない。

3-1 寒さへの適応

ヒトは熱帯性の動物
 アフリカ生まれの人類は暑さに強く寒さに弱い。
アレンの法則
 寒い地域に生息するものほど恒温動物は耳鼻足などの突起が短くなる。
 えええッ。平たい顔族かつ短足に!?・・・・悲しみ(゚д゚)!
ベルクマンの法則
 寒い地域に生息するほど体重がアップする。
 平たく手足の短い巨人てことになりますかネ?モテなそう(悲)
※だが、これらの説にあてはまらぬ事例もあるため「一般的な法則で説明するのは難しい」とされているらしい。
 ↓
生物的適応
文化的適応
 ← 人類の優れている点

3-2 暑さへの適応

慣れることができる。
 アフリカ人とヨーロッパ人の暑さへの耐性実験
   ↓
 1回目はアフリカ人勝利。
 が、ヨーロッパ人に10日間耐暑さトレーニングを課すと能力が追いつき、差が消える。
   ↓

この結果が示唆することは、暑さへの耐性という人間の能力には、ふだん暮らしている環境条件が関わっていること、しかしながら順化の期間をおくことで暑さへの耐性に関わる集団間差はほとんどなくなるということの2点である。

4.人類集団ごとの生物的特徴と健康

移動と隔離
 
出アフリカ。移動して出て行った集団はたいていの場合、母集団よりも規模が小さい。よって遺伝的多様性も少ない。出てった側と出てかれた側の間には隔離が存在するため、それぞれの集団で発生した遺伝的変化は共有されず固有のものとなる。

4-1 緯度と肌の色

メラニン色素の量
 低緯度地域 色濃 皮膚がん
 高緯度地域 色薄 ビタミンD欠乏症

4-2 倹約遺伝子と肥満

倹約遺伝子仮設
 南太平洋諸国 肥満や糖尿が多い
 エネルギー効率がよいのでは?説
  ↑ こういう特徴のある人たちは遠洋航海に向いてた!的な説。

4-3 牧畜と乳糖不耐性

乳糖→小腸でラクターゼという酵素によってグルコースとガラクトースに分解される。ほとんどの哺乳類は離乳後にラクターゼの分泌が減少。
乳糖不耐性(乳糖を消化できない)
 中国・日本・タイ・極北先住民・アメリカ大陸先住民など✕傾向
 牧畜民→乳糖不耐性割合20パー顕著に少ない!
  離乳後もラクターゼが分泌される体質が遺伝的に選択されてきた説
 ↓
しかし近年になって、乳糖不耐性に関しては遺伝的背景だけでなく、習慣や慣れが大きく関わっていることが明らかに。

人間集団の間に見られる生物的な違いは順化によってかなりの部分が消失する。

5.まとめ

遺伝と環境、どっちも侮れず。

遺伝型と表現型
生物のもつ遺伝子の種類とその構造を遺伝型という。一卵性双生児が異なる見かけや性格をもつことからわかるように、遺伝型が同じでも生物に現れる特徴は同じになるとは限らない。このような生物に現れた特徴のことを表現型という。生物の分類は、もともと表現型の違いによってすすめられてきたが、近年では遺伝型の違いによる分類が一般的である。

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