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【放送大学/まとめノート】総合人類学としてのヒト学(’18)第5回 家畜とともに暮らす / 高倉浩樹教授
キーワード
飼育化 遊牧 乳利用 家畜群 適応
目標&ポイント
1.牧畜社会への理解を深める
2.牧畜
3.牧畜社会の3タイプ
1.遊牧の風景
牧畜社会
家畜群を伴って移動しながら暮らす
2.牧畜社会の特徴
2-1 ドメスティケーションと社会
牧畜社会
乾燥地帯・寒冷地帯・高地などの農耕不向きの場所でも家畜のおかげで環境適応が可能になる。ヒトが利用しない植物を家畜が摂取、人は家畜を摂取。
ドメスティケーション実現は人類の文化的画期!
イヌ 最初に飼育化された動物といわれる
番犬 愛玩 狩猟 そり・船の牽引
家畜ブタ(東アジア起源)
食用 定住農耕社会
↓
飼育化と牧畜社会が必ずセットで現れるわけじゃない。
2-2 牧畜的家畜
ヒトの社会を大きく変えた飼育動物(「牧畜的家畜」)
羊・山羊・牛・馬・らくだ・トナカイ・リャマ・アルパカなど
群れで飼育可
家畜と人のホームレンジ(独自生息域)の共有
去勢
好ましい種オスを選んで繁殖させられる
オスが少ないほうが移動が容易
家畜のみの自給自足は難しい。周囲の農耕民や狩猟採集民と交易したり、彼ら自身が補足的に農耕や漁撈・採集をしたりする。
1.乾燥地牧畜
2.寒冷地牧畜
3.高地牧畜
3.乾燥地牧畜
3-1 西アジアにおける起源
紀元前7000年頃 乾燥地→牧畜が最初に成立
ヤギスタート ヒツジ・ウシが続く
飼育化の場所は動物ごとに異なる
飼育化の起源地と植物栽培の起源地は必ずしも一致しない
肉の確保が目的 移動はまだナシ
長い時間をかけて行われた。天才が技法を発見!とかではない。
搾乳は紀元前6000年紀後半~
屠殺せずとも食料確保が可能になった(乳)
乳利用→群れは大きいほうがいい
↓
遊牧生活者が現れるように。
3-2 乳製品の意味と生態的意義
乳 完全栄養食
搾乳には時期がある(出産後~)
乳製品
ヨーグルト・バター・チーズ
搾乳できない時のための保存食
ヒトの乳利用は、家畜が季節的に繁殖する性質やその背後の気温や植物のバランスの上に成り立っている。
3-3 ミルクの分解酵素と進化
乳利用文化の登場
乳糖耐性遺伝子集団が増加する自然淘汰 遊牧民
生態環境とこれに基づく文化選択
→乳利用する集団としない集団
4.多様な牧畜社会
4-1 交易と遊牧国家
足りないものを補うために自集団あるいは他集団と協力して分業・・・・というのが季節移動を伴う遊牧民には難しかった。
↓
それゆえに、交易・戦争などによって当該社会とは別の生産物を入手するか、あるいは牧畜社会内部で部分的に農耕・狩猟・漁労・採集を組み合わせる、あるいは部分的に定住化することが行われてきた。
モンゴル帝国 遊牧国家
土地の支配による富ではなく、家畜が富の源泉
4-2 寒冷地牧畜
寒冷地牧畜・高地牧畜
乳利用を行わない
トナカイ牧畜社会
そり・騎乗などの運搬利用 移動的生活
狩猟・漁撈・採集
農耕社会との食糧交換なしでの維持が可能 自給自足的
寒冷牧畜の本質は、環境や社会条件に応じて家畜トナカイの数の多寡を決定させる能力とそれに比例する形で狩猟や漁労の比重を定めるという柔軟性に基づく自給自足である。
4-3 高地牧畜
南アメリカの高地牧畜
モルモット・アルパカ・リャマ
スペインからウマ・ヒツジ・ウシが持ち込まれた
アンデスの農耕社会と密接な関係
経済的家畜 輸送力と毛皮
交易活動による専業牧畜社会
5.共生的牧畜
栽培化・飼育化にはそれをされる側にもメリットがなければ存続は不能。いずれの牧畜社会もこの共生関係が十分に含められ、家畜が社会の構造や道徳などの価値観と結びついている。
たとえば野性下では捕食圧力のために単純化する動物の毛色が、家畜では経済的・文化的価値が付与され多様化する。家畜の生物としての特性、いわば動物の能力を発展させるヒトの社会は独自の生活様式を作ることができた。
我々が学ぶべきは、動物の生物学的特性を最大限に利用する形で特徴づけられる人類社会の可能性である。極度の乾燥でも寒冷でも高地でも家畜と共生を行うことで人類はその生存の可能性と文化の多様性を最大化してきたのである。