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【放送大学/まとめノート】総合人類学としてのヒト学(’18)第2回 文化としてのドメスティケーション / 梅﨑昌裕教授

キーワード

栽培化された植物 家畜化された動物 エネルギー効率 改変された生態系

目標&ポイント

1.植物・動物のドメスティケート(栽培化・家畜化)
2.ドメスティケーションによる植物・動物の変化
3.人類の生活はどう変わったか


1.食べ物は誰がつくるのか

ドメスティケーション
 
人間が野生の植物や動物を、栽培化された植物、飼育化された動物に変えてきたプロセス
 ↓
栽培・飼育 1万年より少し前~

人間が食べ物を手に入れる行動 
 1.採集 自然環境下にある植物の利用
 2.狩猟 自然環境下にある陸生動物をつかまえる行動
 3.漁労 自然環境下にある魚介類などの水棲動物をつかまえる行動
 4.栽培 人為環境下で植物を植え育て収穫する行動
 5.飼育 人為環境下で動物を再生産する行動
 6.養殖 人為環境下で魚介類を増やす行動
※変数2「植物・動物」「自然環境下・人為環境下」

栽培・飼育の対象になる動植物 → 野生種とは大きく異なる
 ※魚介類は一部の例外を除いて野生種と同じ。

2.植物のドメスティケーション

2-1 栽培化された植物

栽培
 栽培に適した植物・栽培する技術が必須
 人間に都合のいい特徴

興味深いことに、栽培化された植物が備える人間にとって都合のよい特徴は、ほとんどの場合、植物の生存にとっては不都合な特徴である。
(中略)
したがって、栽培化された植物は、自然の中では生きていけない。策に囲まれ動物の侵入を許さない畑という環境で、土壌の栄養素や太陽光線をめぐる競争関係にある雑草を人間に排除してもらいながら、成長に必要な栄養素と水を与えられてこそ生きていけるのである。
栽培化された植物が生きていけるような環境をつくること、そのような栽培の技術の体系を農耕という。

2-2 農耕の類型化

現代農耕と在来農耕の共通点
 1.栽培植物のための環境確保
 2.収穫
ただし、環境確保の手段に大きな違いが!!
現代農業
 1.除草剤・化学肥料・化学物質による殺虫
 2.農業機械の導入
 3.バイオテクノロジー
 4.農学技術のグローバル化
   マニュアル化・体系化
在来農耕
 1.とにかくローカル ←→ グローバル化✕
   社会・個人レベルでの知識
   体系化✕ 上書き〇 消失の危機と背中合わせ
 2.同種の植物の中にたくさんの品種が維持されていることが多い
   →在来農耕の持続性に関してなんらかの意味を持つ
 3.天候・虫害によるダメージに収穫量が左右される
 4.文化的行為とのつながり
   →在来知識・協業と分配をめぐる規範・儀礼・暦など

在来農耕はそれぞれの社会における文化体系の重要な部分を形成していることが多い。これは、外部の指導により成り立ち、外部に供給することを前提とした作物の生産を行うなど、現代農業が社会にとって外的な特徴を持つ傾向にあるのと対照的である。

2-3 現代農業と在来農耕の対比

現代農業の成立は、化石燃料をエネルギー源とする産業革命以降の様々な技術の発達を背景としている。産業革命によって、世界各地では、在来農耕が、人間の投入する時間とエネルギーが少なく、安定的で生産性の高い現代農業にとって替わられてきた。

→ 人口増加・食料需要増加への対応が可能に!
  食糧の安定供給が可能に!
→ 全体のエネルギー消費量は増加
  地球環境への負荷増大
  在来農耕に裏打ちされた文化の喪失

3.動物のドメスティケーション

3-1 飼育化された動物

家畜・愛玩動物

人間の役に立つ能力の強化・望ましくない性質は弱められる
人間に対する攻撃性や警戒心が少なく穏やかな性質。
人間の利用できないものを食べる。
食肉系 → 肉がウマイ!
愛玩系 → 可愛いしぐさ!
基本、子だくさん!

そういえば。記事には載せてないのですが、こちらのご著書の中に動物を家畜化できる条件てのが載ってたナ。
危険度が高すぎて飼育はムリだそーですが(だろうな納得!)、ライオンのお肉って美味しいんですって。 ↓

ダイアモンドは、動物が十分に従順であること、群生すること、飼育下での繁殖を厭わない、社会的優位のヒエラルキーを持っているなど6つの基準を特定している。

Wikipedia『銃・病原菌・鉄』より
南海トラフに備え、愛読書はきっちり箱詰めしてベッド下に保管中。ゆえにWikipedia先生よりの引用です。

これも面白かった! ギンギツネの話が印象に残っています。 ↓

3-2 飼育化された動物の利用

完全に自然下での生存困難
用途 食べ物
   道具や服の材料
   労働力・輸送力
   愛玩・実験用動物
   威信財 など

3-3 飼育化された動物が人間の生活に与えた影響

感染症の問題クローズアップ
One Health
 人の衛生・家畜の衛生・環境の衛生の関係者が連携して対策に取り組むべきという考え方。

4.まとめ ドメスティケーションの捉え方

本稿で説明してきた植物の栽培化と動物の飼育化は、ドメスティケーションというプロセスである。ドメスティケーションは、生態系の一員として、他の生物と同じように、被食-捕食の関係の中で生きていた人間が、他の生物を自分の都合のいいようにコントロールして、生態系の構造を人為的に改変した現象と言い換えることもできる。ドメスティケーションによって人間の生存は相対的に容易になり、人口増加率はそれまでよりも高い水準になった。そういう意味でドメスティケーションは人類史の中でも大きな発明の一つであると言えるだろう。

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