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【放送大学/まとめノート】総合人類学としてのヒト学(’18)第7回 ヒトの家族の起源 / 今村薫教授

キーワード

インセスト・タブー 外婚 コミュニティ 性別分業 核家族

目標&ポイント

1.重層的な社会組織とネットワーク
  家族、親戚、地域集団など
2.人類の家族の特徴
  インセスト・タブー 外婚 コミュニティ 性別分業など


1.家族とは何か

家族とは
・ヒトに特有 様々な形の家族を持つ
・居住空間をともにする
・生産活動と消費をともに行う
・夫婦の性的関係が結ばれる 生殖と教育の場
人間は家族なしには生存すらできない

社会人類学者ジョージ・マードック(アメリカ)提唱
  家族の基本単位:夫婦と未婚の子から成る核家族
 ↓
しかし、実際は多様なバリエーションがある。

2.霊長類の社会構造

※他の霊長類社会との比較によって、ヒトとの違いを浮き上がらせる試み。諸説あるようだがハッキリしたことはわからないらしい(ま、そらそうです)。

霊長類の社会の構造の進化は「より多くの個体と交渉を保とうという傾向と、特定の雌雄の安定した結びつきを達成しようという背反する二本の糸に操られてきた。

伊谷(1987)

3.インセスト・タブー、そして外婚

人類学者・今西錦司(1961)の人間家族の4条件
  1.インセスト・タブー
  2.外婚
  3.地域社会
  4.労働の性別分業
→ 今西先生は人間加速の起源を知るためには「霊長留学的アプローチ」と「民俗学的アプローチ」 の二つが必要とした。

レヴィ=ストロース(1978)
  外婚 → 女性の交換 親族間の関係を強化する社会制度
       
人間を自然状態から文化の世界にひきあげた

インセンスト・タブー
  ・ヒト以外の動物にもこの傾向あり
  ・ヒト → 制度として禁止 厳罰(←ヒト特有)

4.重層的社会

4-1 地域社会

重層的社会の構築
  「共同的な群れ生活」「(元来排他的な)家族生活」の両立
     ↓
  単位集団同士になんらかの協力関係が必須

霊長類学の文脈では、霊長類の群れは、ある一定範囲の土地をともに誘導することで集団の輪郭を保っていることから、原初的なヒトの家族も一定の土地を誘導する生活を送っていたと想像している。そして、家族の上位集団とは空間的にともに誘導する人々、あるいは定住して近くに住んでいる人々の集団であり、この集団のことを共同体、あるいは地域集団と呼んでいる。

上位集団の構造

クラン 神話や伝統により祖先を共有する集団
 ↑
リネージ 先祖の系譜を辿れる集団 名前がある(〇〇家)
 ↑
家族

家族の上に何層にもわたる上位集団を重ねたり組み合わせたりしながら、複雑な経済活動や政治を可能にしてきた。
類人猿は単層社会。なぜヒトの社会は重層化したのか!?
 ↓

4-2 繁殖戦略と社会

ヒト科動物 → 少産多保護
ヒト → 多産多保護 ← オスの育児参加がこれを可能にした!説
オスの育児参加は人類にとって画期的重要事項
    ↓
「制度としての父親」にもつながる(血縁なし・役割のみの父)

4-3 性と個体関係

類人猿 オスの性的競合を抑える様々なシステムをもつ
 例)ニセの発情(ボノボ)
   一夫多妻(ゴリラ)
   重曹社会(ヒト)

初期人類の社会は、雌雄はある程度安定した配偶関係を持ち、かつ、雌雄が複数いる群れ生活を送るという重層的な社会である。カップル内のメンバーは、カップル外の異性を含むメンバーと接触する自由を保持したままカップルを維持しなければならない。初期人類のメスが明瞭な発情の兆候を示さないという点は、重層社会の成立に不可欠であっただろう。個体間の協力関係の拡大と雌雄関係の安定という集団の中で相反するベクトルを一本にまとめることが必要だったのである。

5.分配と性別分業

※ここ、一番面白い。

我々は核家族を基本の最小単位と考えがち(フィッシャー等)だが、そうではない。共同体こそが我らの生存における決定的に重要な経済単位である。(←分配)(今村2005)

人間は、「家族」」と「共同体」の二つの集団に所属して暮らしている。これは本来、非常に複雑で不思議な現象である。家族が身内をいちばんに考えるえこひいきの集団であることに対して、共同体は平等あるいは互酬性を基本としており、成立の原理が違う(山極2014)。人類は共同での子育ての必要性と、食を共にすることによって生まれた分ちあいの精神によって、家族と共同体という二つの集団の両立を成功させたのである。


【引用文献】

あんまりない。古い本ばっかなのかも。
放送大学図書館にならあるのかもしれない。

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