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【放送大学/まとめノート】総合人類学としてのヒト学(’18)第15回 地球温暖化と人間社会 / 高倉浩樹教授
キーワード
気候変動 自然災害 適応 在来知 レジリアンス
目標&ポイント
1.地球温暖化
2.自然循環の一部に組み込まれた人類社会
3.地球温暖化への対応
4.自然と社会の相互作用
1.「人類世」という視点
更新世(20万年前~)ホモ・サピエンス出現
完新世(1万年前~)氷河期終了。農耕・牧畜。文明発生。
人類世(18世紀後半~)
人の名を冠した地質時代というのも少々ずーずーしいですが、気候変動・地球温暖化問題にみられるように、人類そのものが地球の地質循環全体に影響を及ぼしている。のです。
2.気候変動と災害
人間の文明世界は地球という惑星の物質循環の中に成立している。しかし現代では、ヒト起源のローカルな生態系の影響が地球全体の物質循環をも変えるような規模と質を持つようになってしまってる。
3.地球温暖化と国際政治
3-1 温暖化のリスク
地球温暖化は人為的な原因による「可能性が非常に高い」
by.気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
↓
確信度の高いリスク
・海面上昇
・大都市部への洪水
・極端な気象現象によるインフラ停止
・熱波による都市部のリスク
・気温上昇
・干ばつによる食料安全保障
・水資源不足と農業生産減少
・沿岸海域の生態系喪失リスク
・陸域内水面の損失リスク 等
これは従来ヒトが享受していた生態系からの恵みが損なわれうることを示している。
3-2 社会組織としてのIPCC
伝統的な軍事中心の安全保障論
↓
健康や幸福、教育などを含む人間の安全保障論
地球全体にかかわる環境問題は、二国間や多国間の関係だけでなく、国際機関さらにNGO・市民社会といった様々な主体がそれぞれ問題化し、解決が計られているようになった。我々が生きる現代世界、特に人類世という視野の中で起きてくる諸問題は、従来の国家だけでなく、そうした新しい政治と科学の繋がりを備えた仕組みの中で解決されようとしているのである。
4.気候変動とヒト学
4-1 環境正義と在来知
温暖化の研究は自然科学者と、政策研究や国際関係論、経済学などの分野の社会科学者によって担われている。・・・ではヒト学には何ができるか?
↓
1.民族的少数者や先住民によって構成される社会を熟考することによって、国家・国際社会との交渉過程の分析を試みている。「社会現象としての温暖化」の理解を深める。・・・・ん?よくわかんないナ(^^ゞ
2.自然科学者と一緒に「地球温暖化が地域社会に何をもたらすか」を分析。災害に脆弱な社会層の分布についての研究には環境正義的な理解が必要となる。現地の人と科学者を繋げる。
現地の人の認識を理解するには在来知が手がかりに。
在来知とは
ヒトが暮らしの中で経験的に発展させてきた身のまわりの環境についての知識・技能・思想を意味する。
文化的多様性を理解する上で重要。
地域に根差した持続的発展のカギ。
しばしば科学的知識と対立的に捉えられることがある。
自然環境を認識するてがかりとなる点ですごく重要。
在来知は科学的知識と相互補完することによって有効に。
4-2 温暖化研究における「翻訳者」
在来知の記録化←近年のヒト学の仕事
更新・伝承のメカニズムの解明を狙う。観察結果を科学者にもわかる形に「翻訳」したい。マクロとミクロの知見の組み合わせが必要だから!
5.おわりに
地球温暖化研究に取り組むことによって、ヒト学は自然環境の理解を変えるようになった。従来のヒト学はけして自然環境を無視してきたわけではない。サバンナや熱帯雨林という環境が指定され、その中でヒトの適応や文化構築が検討されてきた。ただそこで区分された環境は季節変化や多少の変動はあるにせよ変わらない、いわば背景としての自然だった。文化こそが変化するものだったからである。しかし地球温暖化に取り組むことは、動き続ける自然とそれに対応する文化と社会という視座を必要とする。
人類世の中でヒト学の重要な課題は、現存している文化・社会の中から、動き続ける自然に対応・適応するレジリアンスをみつけること。