見出し画像

【放送大学/まとめノート】総合人類学としてのヒト学(’18)第4回 食べものをとる / 今村薫教授

キーワード

狩猟採集 道具 分配 平等主義 多様性

目標&ポイント

1.狩猟採集時代 人類の基礎
2.人類の進化と食物獲得行動
3.自然利用 分配行動 平等主義的な社会


1.初期人類の生活

ヒト=ホモ・サピエンス(かしこいひと)
20万年前に地球上に登場。遺伝的・身体的な基本設計は現代人に至るまで変わっていない。(凄!)

最初の人類登場は700万年前。アフリカ。
人類と類人猿の形態上の違いは「直立二足歩行」「大きな脳(ホモ属~)」。

1-1 直立二足歩行のきっかけ

1.サバンナ説
 アウストラロピテクスが最古の人類と考えられていた頃の説。気候変動でサバンナが広がり、「樹から降りて」森林からサバンナへ進出した説。
2.エネルギー効率論
 地上を移動するには、チンパンジーの4足歩行よりヒトの2足歩行のほうが2倍も効率がよい。
3.果実食仮説
 1990年代以降、アウストラロピテクスよりも古い人類が次々と発見され、初期人類はサバンナと熱帯雨林が入り混じった環境で木登りもしながら二足歩行していた!説が出てきた。→樹上で立ち上がって「両手で果実を容易にかき集めるため」(リーバーマン2015)
4.オスの育児参加説
 オスが特定のメスとその子供に食物を手で運ぶことによって二足歩行が進化した説(ラブジェイ1980年代)

1-2 二足歩行後の進化を促進したもの

結局どの説が正しいかはわからないけど、道具を使いやすくなったのだけは確かだよネ(手が使えるから)。
1.狩猟仮説
 石器の使用が進化を促した説。先述のサバンナ説と連動。道具を使ううち手先も器用になり脳が発達したのでは?
2.死肉拾い仮説
 最古の石器は250万年前のもの。→700万年前との隔たりが長すぎんか?という批判。しかも、この時代の石器は狩猟のためというより皮や肉を切ったり、骨を砕いて脊髄を取り出すための解体に使われたものであると考えられている。250万年前=ホモ属出現時期。脳が急激に大型化(肉食のおかげ)。死肉拾ってたんじゃないか。
 ホモ属が常習的に狩猟を行うようになったのは180万年前(ホモ・エレクトス以降)。槍の使用は50万年前~。
3.採集仮説と堀棒の重要性
 サルは本来肉食ではなくベジタリアン。いきなり肉食化したってゆーのも不自然では?→多彩な雑食。堀棒を使って地下の食物も食べていた。
 堀棒には用途が無限にある。手の延長として使える。
4.初期人類からホモ属までの食生活
 以上の仮説→対立・矛盾。しかし相補的。

2.現代の狩猟採集民

180万年前ホモ・エレクトス出現
 ↓ この間ず~~~っと狩猟採集生活!!
1万年前農耕・牧畜開始

人類固有の文化的特徴の根幹をなす部分は狩猟採集生活を通じて培われたもの。現代の狩猟採集民たちの生活の中に、その片鱗をみることができる(という想定)。

2-1 狩猟採集民サンの社会

南部アフリカ・カラハリ砂漠に暮らす。ブッシュマン。
・狩猟採集
・食物分配
・平等主義社会

「富は重荷」←移動が多いから

サンの人々は気前よく肉を他人に分け与えるが、けっして生まれつきの「お人よし」なのではない。独占したい欲望、人より注目されたい願望、人を支配したい欲望が垣間見られることもある。だからこそ、ことあるごとに「分けろ」「人間は独り占めしないものだ」といった言葉を口にするのである。また、彼らは他人から妬まれることを非常に恐れている。
平等主義社会とは、不平等の淵を覗き込みながら、かろうじて踏みとどまっている社会なのである。

(゚д゚)!

3.狩猟採集民の多様性

きわめて多様な環境
平等主義的な社会から、奴隷を組み込んだ階層社会まで様々
(゚д゚)!

4.食物の社会道具化

食物が栄養摂取の次元を超えて社会関係を確認するための手段・道具になる。←こういうのはチンパンジーやボノボの社会にも存在する。
  ↓ 
類人猿の分配とヒトの行う分配とでは何が違うのか?
「所有」という抽象概念が必須!! 狩猟採集民の行う分配は、所有者をなくす行為ではなくラベル(持ち主)の張替え。

分配と共有によって、人類の食物獲得行為は、生態から経済に変わったのである。

おお。スゴイ。

いいなと思ったら応援しよう!