試される大地の優しさに触れた北海道10日間の旅 / 終わりを告げるその前に
JRフリーパスで行った北海道一周の旅をお届けしています。
とうとうパス7日目。最終日を迎えてしまいました。。。
前回の記事はこちら。
室蘭で迎える朝。今日からお天気は下り坂。朝日は頑張って光を届けようとしてくれていたけど、雨予報です。この空模様は今の私の心と同じだ。
── しかし、落ち込んでいる場合じゃないですよね。室蘭と言えば東日本最大の吊り橋である白鳥大橋が有名で、昨日の夜、ホテルの部屋の窓から見ることができたのでご紹介。
心地よく楽しかった時間は花火のように儚いけど、室蘭の街を肌で感じることができてよかった。
この旅も、もうすぐ終わる。
『始め有るものは 必ず終わり有り』
今日はスタート地点だった、函館に帰ります。
その前にもう一度、札幌と小樽へ。そして、どうしても乗っておきたい路線を経て函館駅に戻ります。
さぁ、出発。
ホーム足元の乗車目標には、北海道を代表する名産や名物の名前がついています。
列車旅はドラマみたい。ホームに立ち、足元の乗車目標を見るだけで、色んなことが回想シーンのように蘇ってきます。
たくさんの体験を連日プレゼントしてくれたJR北海道の列車達。何度『ありがとう』の言葉を使っただろう。
ラストとはいえ、今日という日は始まったばかり。まだまだ乗りますよ。札幌へは特急北斗で向かいます。室蘭またね。ありがとう。
やって来ました。2度目の札幌駅です。
札幌に寄り道したのは、北海道庁(赤レンガ庁舎)を見ておきたかったからなんですが、、、
結論から言うと、絶賛改修工事中だったんです。いや、もうね、行くまで全く知りませんでした。
しかし、歴史あるものを保存していくには大事なこと。2025年にリニューアルオープン予定だそうですよ。
改修工事のリアルタイムを見学できるので、それはそれで貴重な物を見せてもらえたのかもしれません。興味のある方は、ぜひ足を運んでみて下さい。
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続いて、くろしおは小樽へ行きます。
と、その前に札幌に赤いローソンがありました。珍しいので一枚撮影。赤レンガ庁舎にちなんでかな?なんて思ったり。調べてみたけど、はっきりとした理由は分からなかった(汗)
では、ホームへ。
到着~!
小樽駅は駅舎自体も「大正ロマン」とも 「昭和レトロ」 とも表現できるような、とっても素敵な建物ですが、ホームも随所にそのような雰囲気を感じられ、時間を作ってでも見てもらいたい場所です。
石原裕次郎さんは幼少期、小樽に住んでいたのだそうですよ。
ホームを後に、改札を出ると
そしてこちらの写真をご覧下さい。
右側の電光掲示板が真っ黒です…。
撮影してるけど、目線は完全に綺麗に並んだガス灯。大変なことが起こっているのを知らず、くろしおは意気揚々と駅を後に小樽の街に出かけていくのでした。
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では出発。街ブラしながら、お目当てのお店に向かいます。まず駅前左側に見える階段を上がってみましょう。
この階段を上がって行くと、
小樽で有名な三角市場があります。
待ちが出来ていましたが、これを確実に食べるため、滞在時間に余裕を作っています。
30分ぐらい待ったかなぁ、一人なので早く通してもらえました。カウンターに着席です。
食べたいものは決まっているので、早速注文しに行きます。
あとは、待つだけ。
きたー!来ましたー!
うまい!くろしお、お酒は飲まないので、これだけを黙々と食べたのですが、いけます!飽きないんです。最後の最後まで余すこと無く全部おいしい。ビールを片手に、かぶりつきもおいしいこと間違いないと思いますよ!
北海道は寿司だけにあらず!小樽に来たら、若鶏半身揚げか、ザンギをぜひ食べてみて下さい。(実は一度目の小樽で、ザンギもちゃっかり食べてます(笑)おすすめ。)
ごちそうさまでした。おいしかった!これは外せないグルメになりそうです。
さぁ~どんどん行きます。次はデザート。
夜の小樽滞在時にも行きましたが、北海道で一番最初に引かれた鉄道路線、手宮線を歩きながら向かうことにしましょう。
手宮線跡を歩きます。
いろんな風景や秋の訪れを感じながら着きました。ここです。
フレーバーがたくさんあって、サイズの大きいソフトクリームがSNS映えすることで人気なんですね。
あはは᠁。映えない写真は置いといて。。。
ソフトクリームを食べ、駅に戻ろうとした時、ようやく大変な事態に気づきます。
まさにこれに乗るつもりだったのです。
新幹線が札幌まで開業すると無くなってしまう、通称 “山線” と呼ばれている路線です。
そう、ここは木古内~函館間の道南いさりび鉄道のように第三セクターにもなることなく廃止が決定しています。
だからパス最終日にどうしても乗りたかったのです。
じたばたしても仕方ないので、とりあえず小樽駅に戻ることに。
この時の私の工程では、小樽15時05分発の倶知安行きに乗る予定にしていました。
駅員さんに尋ねると、15時頃再開と聞いているけど、現状どうなるのかは、ちょっとわからない。函館へは、このルートで行くしかないと言われてしまいました᠁。
うーん。絶対乗りたい᠁山線。。。
しばらく駅の周りや、コンビニ兼おみやげやさんを見たりしながらも、気持ちはそわそわしっぱなし…。
ルート変更した方もいるのだろう。少しだけ空いてきた待合室に座ることにした。最後の最後で、試される大地の洗礼を受けるのかぁ…と落胆していたら、ふと声を掛けられました。
『あの、お時間よろしいでしょうか?観光調査をしていまして、御協力お願いできますか?』
大きなボストンバッグを持っていたので、声をかけて下さったのでしょう。「はい、いいですよ。」
『ありがとうございます。どちらからおいでですか?小樽は初めてでしょうか?』
「大阪です。小樽は…厳密に言うと2回目かな。6日前にも来ていますので…」
『というのは?』
「北海道を一周中でして、夜の小樽をこの前、今日は昼の小樽をと思って来ました。函館に帰るのに乗りたい電車が止まっていて、どうしようかと᠁」
『そうだったのですね。そんな時にすみません。』
「いえ、いいんですよー。」
『小樽に2回も来て下さりありがとうございます。色々お聞きしてもいいですか?』
「はい。どうぞ。」
と、質問を聞こうとしたその時、マイク放送が聞こえてきました。
あ!アナウンス流れてますね!電車動くみたい!
おねえさん、私行きます!ごめんなさい、アンケート途中だけど。
いえ!いいんです。小樽に来て下さりありがとうございました!気をつけて帰って下さい。こちら粗品、受け取って下さい!
え?何も答えてないのにいいんですか?
もちろん!
ありがとうございます!北海道最高でした。ほんとうに、来てよかったです!と伝えその方と笑顔でお別れし、電光掲示板を見に行きました。
そしたら、、、
もう、鳥肌がたちました。こんな奇跡ある?いや、あった、すごい。
山線、乗せてくれるんやね!北海道ありがとう、私の願いを叶えてくれて。
しかも入線してきたのが、
この旅で、何度か見てはいるものの、乗るチャンスは訪れなかったので、初めての乗車です。ワクワクします。感動!
またたくまに席が埋まっていきました。出発です。
お客さんがたくさん乗られていたので、写真はないですが、途中の余市(よいち)駅にはニッカウヰスキー余市蒸溜所があって人気の観光スポットのようです。
あと、登別ならぬ然別駅もあります。
駅の周りは、着々と工事が進んでいるようです。
それ以外は、長閑な風景が目の前に。
北海道のローカル線が少しづつ無くなっていくのは寂しい気がする。ガタンゴトンとアナログな走行音を聞きながら、ゆったり流れる車窓は間違いなく見るものを魅了すると思っているから。
根室本線には昆布盛駅があったけど、こちらは昆布駅。北海道らしいなぁ。
ここは昆布温泉があるんだって。
倶知安からボックスシートの向かいに座っていた、お2人のおばさまが色々とお話しをしてくれた。
学生時代からのお友達なんだって。そんな2人はとっても対照的。ちゃきちゃきお姉さんと、おっとりな妹みたい。掛け合いがいい感じで見ていて微笑ましい。
今日は、駅前にある昆布温泉に2人で泊まりに来たの。と嬉しそうにお話ししてくれたのが、とても印象的だった。
長万部駅。おしゃまんべえき
降りた瞬間、なんとも言えない寂寥感※に包まれた。乗ってきた列車で一緒だった、おふたりのおばさまとの会話や笑顔での別れもあるのかな。
※静かで物悲しく、人気がなく侘しい気持ちや情景を表す表現。
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数人の乗客達は降りると足早に駅をあとにし誰もいなくなる。さらに列車も留置線へ入っていき、なんの気配も感じなくなった長万部駅は、さらに静寂に包まれます。
そして、どうしても撮りたくなったのは、こちらの写真。
道南いさりび鉄道に乗りたかったので新幹線で本州から青函トンネルを渡り北海道初上陸したのは、ひとつ手前の木古内駅。
新幹線の終着駅である新函館北斗には、まだ行っていないのです。
だけど新幹線ホームへは、このフリーパスでは入れないため200円の入場券を買って新幹線改札内へ。
北海道を走る新幹線は、はやぶさ号が主流ですが、始発、終電とその1本前にだけ、はやて号が走ります。
違いは、区間と最高速度。はやぶさ号は東京~新函館北斗を結び、最高速度は320km。
はやて号は盛岡・新青森~新函館北斗間を結び、最高速度は275km。
車両は同じで、はやて号の区間は、はやぶさ号であっても320km走行はできないので所要時間も変わりません。
まぁ、レアな種別表示が見れて、乗車すると堺 正幸さんのダンディな声で『この電車は、はやて号〇〇行きです。』と聞くことができるってとこかな(笑)
自動改札機を通さずに係員のいる改札で 「切符下さい」 と言うと、ハンコを押してくれて持ち帰ることができます。
ちなみにJR西日本では、乗車記念/使用済と文字だけの青色ハンコです。
ほんとうの最後の時がやってきました。函館行きの列車に乗ります。
乗った列車はキハ40形。北海道と言えばこの列車。2025年には姿を消してしまうこの車両。
7日間もあったのに、この車両に乗れなかった意味がここで分かったような気がしました。最後にふさわしい列車はこれ以外にないでしょう。
北海道が、いや函館が私を迎え入れてくれるために用意してくれたサプライズプレゼントだ。
函館、泣かないで。
私の涙も止まらなくなる。
北海道で出会った、大地、緑、海、太陽、果てしなく続く空。そして、たくさんの人と出会い、たくさんの優しさに触れた。
お互いに尊重し、譲り合いながらの野生動物との共存。厳しい自然と向き合う列車の姿がここ北の大地にあった。
みなさんが望むような、観光地を紹介できる記事ではなかったかもしれない。
だけど観光案内にはない、北海道の素晴らしさを伝えることができたかなと思っています。
車窓から始まり降り立った駅そのものが、その土地の象徴だった北海道。
ほんとうにドラマのような毎日だった。
たくさんの奇跡と感動をありがとう。また会おうね。次は最後まで笑顔で。
Hokkaido Love
みなさん最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。
これからもどこかへ。それが今の願いです。
くろしお
実はサプライズがもうひとつ。本州へ帰る新幹線が紫の帯であるH5系だったのです。新幹線は1ヶ月前にえきねっとで予約していたのでまったくノーリサーチでの対面でした。わ!やったー紫や!って言っちゃった(笑)
こちらの車両はとても少なく、4もしくは3編成しかないはず。
くろしお 初めて乗りました。
H5系は北海道仕様。雪の結晶をデザインした模様が車内に使われていて、とてもかわいいんですよ!
乗った時のお楽しみとして、今回は写真は載せないでおきますね。
↓最後の最後~おまけ記事はこちら↓