試される大地の優しさに触れた北海道10日間の旅 / 根室 ・ 納沙布岬
鉄道のフリーパスを使って2023年10月に北海道一周をした旅noteです。
前回の旅はこちら
納沙布岬へ向かう時間がやってきました。
バスの窓からも北海道は、空の広さを主張してくる。
一定のスピードを保ちながら、少しくねくねした一本道をバスは進む。そして、急に開けた場所に出たかと思うと、そこは終点 納沙布岬だった。
降りた瞬間、真っ先に目に飛び込ん来るのはアーチ型の像『四島のかけ橋』です。
この『四島のかけ橋』の正しい読み方は『“しま”のかけ橋』です。
四島→ “よんとう” ではないので注意してね。
バスから降りたみんなは、あちらに吸い込まれるように歩いて行った。しかし私は先に、日本最東端である神社 『納沙布金刀比羅神社(のさっぷことひらじんじゃ)』に行きます。
根室観光協会の地図は、ほかの観光地も含め、とてもかわいいイラスト風。ダウンロードしてプリントアウトもできるし、根室駅バス待合にも置いてありました。ぜひ手に取ってみてね。
広場か草原か、どんな表現がふさわしいのか分からないけど、そこにぽつんと白い鳥居と小さな本殿を構えるシンプルな造りの神社です。
金刀比羅神社は、航海の安全や豊漁祈願、五穀豊穣、商売繁昌の神様。
なので、北方領土返還を願っているだけではなく、根室の漁業の安定も見守ってくれていると思うのです。神社は神聖な場所。くろしおは、どちらかと言えば『返せ』って言葉は神社にはあまり似合わないかなと思います。
神様に挨拶と無事にここまで来れたことへのお礼を伝え、神社を後に四島のかけ橋の方へ歩いていきます。
実際に行かれた方は分かるかもしれませんが、巨大で存在感があって…圧倒されます。“願いの塊” みたいな像です。
これが不思議で写真で撮影しても大きさが伝わらない。北方領土問題解決を願う像なんだけど、それを抜きにしても建造物として一度は足を運び、目の前で見てみることをお勧めしたいです。
もしかしたら、前回の記事に載せた銭形のとっつぁんの銃口から放たれたものかも?とっつぁんも願っている証かな。ちょっぴりシンクロニシティ※?なんて思ったりして。
※ シンクロニシティは誰にでも起こり得る現象で「自分が思っていることが、たまたま何らかの形で現実になること」です。
それはさておき、ほかにも北方領土にまつわる願いを込めた石碑などがたくさんあります。
ここ納沙布岬は、岸壁が入り組んだような地形で、強風に煽られた波が白いしぶきをあげながら岩肌にあたり、それを間近で見渡せるためか最果て感がすごいです。
それに加えて、北方領土にまつわるフレーズがたくさん目に入るので悲壮感がどんどん蓄積されちゃう。
なんだか、楽しんでいいのか悪いのかが分からなくなってくる᠁。とてもいい所なのに。
ここで、気持ちの沈みかけた私を励ましてくれるかのような物を見つけます。
さっきから青空と雨雲が喧嘩しているような空模様で、風の強さも相まって、目まぐるしく雲と青空の割合が変わっていきます。雨も降ったり止んだり。。。
空も雲も、晴れ間も雨も、さらには海の白波も、それを受ける岩肌も、、、まるで、北方領土問題を抱えた日本とロシアみたい。
だけど、違ったのです。
僅かに見えていた虹は次第にこのような形で、くろしおの前に現れてくれました。
人生初です。こんな虹を見たのは。
初めて来た北海道で、しかも日本最東端の地、納沙布岬で絵に描いたような綺麗な半円アーチの虹。
さらにこの虹は、オホーツク海上に描かれていました。
いつか分かり合える日がくるように、魔法がかかったのかもしれません。
そして納沙布岬が、そんな気持ちにならないで、この景色をまた見に来てね。ここを忘れないで。ってメッセージを私に送ってくれたのかもしれません。
ありがとう。忘れないよ。
何度でも言います。ありがとう。。。
そしてこちらの写真。素晴らしい虹を同じように撮影をされていた、一眼レフを持った男性の方。たまたまこのような写真が撮れて、素敵なので消さずに取っておいてもいいですか?と、お伺いしたところ快くOKしてくれました。
この方に、北海道を一周中なんです。と言ったら『僕は日本を一周中です。』と返ってきて、わー!すごい!いいなー。と、少しお話しをしてから、お互いに握手を交わし『いい旅を!』と言ってお別れしました。どんな一周旅をされたんだろう。羨ましいです。私もやってみたいなぁ。
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ところで、虹が出る条件をご存知でしょうか?
バスを一本遅らせたことによって出会えた、数々の素晴らしい出来事。
一瞬一瞬が導いてくれた奇跡です。
素敵な一日だった。
根室の雰囲気はとても好き。
佐賀の呼子や富山の氷見。そして、新たに北海道の根室。
自分の心が落ち着く場所は、なんとなく似ている気がします。
旅って観光やグルメだけじゃなく、自身を知る旅でもあるんだ。
それならば、ここ北海道でもう少し自分で自分を見つけて知りたい。
列車で降り立った先でたくさんの感動に出会えるのと引き換えに、北海道から離れる日が近づいてくる…。
そんなアンビバレントな感情を抱きながら、根室で過ごす夜は更けていったのでした。
続きはまた。
くろしお
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