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大人になって読書感想文
〈参考文献〉
宮本英司(2018) 妻が願った最期の「七日間」
サンマーク出版
この本は、2020年7月2日放送の「奇跡体験!アンビリバボー」の企画で特集されていたのを見て知りました。
小腸がんと戦い生涯を全うされた宮本容子さんと、彼女と人生を共にした英司さんのお話で、容子さんが病床で遺した詩「七日間」と、容子さんと英司さんが綴った交換日記が作品のテーマになっています。
この本を読みたいと思ったのは、容子さんの国語力に惹かれたためです。容子さんと英司さんは、大学時代同じ早大の国語国文学科に通い、石川啄木や宮沢賢治を研究されていましたので、書かれる詩や文章の語感(?)がよくて、すっと脳みそを伝って心に届くような感じがしました。
そしてその語感の良さは結局、容子さんの最後の日記まで続きます。彼女の生命力の強さにも、とても惹かれました。
本の内容自体はしっかりノンフィクションで、2人の人生がひたすらデレデレ書かれていて全然ドラマチックではありませんでした。あまりに相思相愛デレデレ感が強いので、途中はイライラしながら読み進めました。
そういうところが良かったです。(無理矢理)
作中で印象に残った部分を2つ紹介します。
1つ目は、2016年3月11日、東日本大震災から5年が経った日に、震災当時の事を思い返した容子さんの日記です。
東日本大震災でご家族を亡くされた皆様に、心よりお悔やみ申し上げます。
また、被害に遭われた多くの皆様に、お見舞い申し上げます。
「命は、紙一重。もし……地震がもう少し神奈川よりで起きたら、私たちだって命をなくしていたかもしれないし、命が今あるということは、「運」としか考えようがないですね。」(p.77)
容子さんは震災で命を落とさなかったことへの運の良さを痛感し、それを生への活力とされました。多くの死と共に辛くて苦しい思いを生み出す東日本大震災ですが、この現実を自分の生きる力に転換させられる容子さんの考え方が、印象深かったです。
作中ではこのように、容子さんが亡くなるまでに書いた日記がありのままに書かれています。死と直面した人が何を考えているのかということが鮮明に感じられ、思わず目を背けたくなるような描写もありながらも、役者をしている私にとっては貴重な文章だな、と思いました。
2つ目は、2016年8月23日、同じく容子さんの日記です。
「拓たちがいるので、お墓をつくってもらったほうがいいかなと思い始めています。お金のかかることだから、あなたが死んだら、マンションを売って、お墓を買うのがいいかな。」(p.91)
いや、図々しいな!と思ってしまいました。拓さんは作中でしっかり者の長男として書かれていて、容子さんも英司さんも、しっかり彼を頼りにしているようでした。
普通、闘病生活が続くと、苦しくて元気が出なくて、「私のことは気にしなくて良いから…」となるものなのかな、と思っていましたが、容子さんに関しては全然そんな事はなかったようです。最期を迎えるその日まで、本当に高い生命力を保っておられたのだと思えて、作中で1番好きな場面でした。
最後に、この本を読んで、
結婚!いいな!!
と思いました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。