【エッセイ】 ゴーヤの山
夏野菜のキュウリやトマト、体を冷やすものならば、秋には扱いも困るものだが、その最たるものがゴーヤという、南の島のニガウリである。
ニガウリという名の通りのその苦味、暑い盛りには良いのだが、涼しくなれば体も欲さず、しかし間の悪いこと、盛夏に育つ株ならば、走りが出るのが八月終わり、どっさりその実がなる頃には、季節は秋、涼しさの増し、苦味など必要ない人の体、取れたゴーヤの山を前にして、お前はいつでも季節外れだと、文句も出ようものである。
ところで、このゴーヤのおいしい食べ方は、わたも取らずに輪切りにし、衣を付けて揚げてしまう、すると種までボリボリ食べられる、簡単便利、あっという間に皿から消えること間違いなしの一品であるが、なんともはや、この山積みのゴーヤを見れば、どうもそれだけでは済まないだろうと、若干うんざりするのである。
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